被災地の早期復興に資する果樹生産・利用技術の実証研究
- 実証地域
- 宮城県
- 分野
- 農業・農村
- 分類
- 網羅型研究(研究課題名被災地における果実生産・流通技術の実証研究)
- 代表機関
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(果樹茶業研究部門)
- 参画研究機関
- 宮城県農業・園芸総合研究所、(地独)青森県産業技術センターりんご研究所、岩手 県農業研究センター、秋田県果樹試験場、山形県農業総合研究センター園芸試験 場、茨城県工業技術センター、群馬県農業技術センター、神奈川県農業技術セン ター、島根県農業技術センター、北海学園大学、秋田県立大学、東京農業大学、島根大学 日本電気(株)、(株)髙島屋、GLO-berry Japan(株) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(食品研究部門)
- 研究実施期間
- 平成23年度~平成29年度
1 研究の背景・課題
被災地の早期復興を図るためには、短期間で収益をあげることができ、かつ高い収益性が期待できる品目を導入するとともに、被災地の復興を印象づける新たな加工品等を開発することで被災農家の経営安定、ひいては地域の発展を図ることが重要である。また、被災地は仙台空港に隣接し、外国人旅行者が高品質な果実を土産として持ち帰りたいという潜在的なニーズがあることから、仙台空港または日本滞在中に注文・販売できる「個人携行輸出システム」の開発を目指す。
2 研究の目標
- ブドウ「シャインマスカット」を対象に、栽培管理時間を2割削減するとともに、貯蔵可能期間を5ヶ月間以上に延長することなどにより、収益率2倍以上の生産体系を構築する。
- レッドカーランツ等の小果樹類を対象に、収穫労力を3割削減するとともに、市場性の高い加工品を開発することなどにより、収益率2倍以上の生産体系を構築する。
- クリ「ぽろたん」を対象に、栽培管理時間を2割以上削減するとともに、収量を3倍以上に向上させることなどにより、収益率2倍以上の生産体系を構築する。
- 輸出用リンゴ果実等の生産・流通・販売を一体としたシステムを構築し、外国人旅行者をターゲットとした「個人携行輸出」を実証する。
3 研究の内容
- ブドウ「シャインマスカット」について、今まで開発した省力・軽労化栽培技術、減農薬技術および収穫期延長技術を現地実証圃にて実証する。さらに、長期貯蔵技術を活用して、新たに輸送パッケージの開発及び海外輸出を実証する。
- 小果樹類について、収穫労力の削減可能な樹形や栽培体系を明らかにするとともに、市場性や機能性の評価に基づき、付加価値を高める加工技術等を開発する。
- クリ「ぽろたん」について、ジョイント栽培の省力性や収量性を検証するとともに、渋皮が剥けやすいという特性を活かした加工品を開発する。
- 輸出向けリンゴ果実等を対象に、植物検疫基準に対応した病害虫管理や栽培管理技術の開発と実証を行う。
- 個人携行輸出に適した果実の品質保持技術や包装資材を開発し、適切なパッケージデザインを確立する。
- 輸出向け果実のロット管理及びトレーサビリティ情報の付与による安全・安心の保証を行い、外国人旅行者向けに日本滞在中に注文・販売できる携行輸出対応型システムを検討・構築する。
4 研究成果概要
- ブドウ「シャインマスカット」について、省力・減農薬管理技術の導入により、宮城県の慣行栽培に比べて年間作業時間を約2割削減できた(図1)。また、輸送パッケージを考案するとともに、海外輸出の実証試験で好評価を得た(図2)。
- レッドカーランツについて、2名の労働力で約900kg/10a 収穫可能な仕立て法を開発した。また、収量低下の原因となるスグリ茎枯病の防除技術を検討している。
- レッドカーランツのピューレ、ジュースを試作し、様々な用途で使用できると実需者からの高い評価を得た(図3)。
- クリ「ぽろたん」について、ジョイント栽培に適した大苗を効率的に育成可能な手法を明らかにするとともに、本栽培に適した低コストで施工性に優れた支持支柱を開発した(図4)。
- また、クリ「ぽろたん」の鬼皮付き焼き栗のレトルト化製品を2種類開発した。食味試験の結果、いずれの製品も多くのモニターから高評価を得た(図5)。
- 宮城県内の菓子店で、自社農園にクリ「ぽろたん」を主としたジョイント栽培を平成27年に導入した。
- 亘理町の現地実証ほ場で、平成25年3月に定植したクリ苗木の一部が風害や土壌乾燥等により生育が劣ったことから、平成26年3月に再度定植した(防風網設置、土壌改良等の対策は実施済み)。
- 宮城県における病害虫発生動態に適合したリンゴの輸出用統一防除体系を策定・導入し、有袋栽培では、シンクイガ完全防除、残留農薬ゼロを確認した(図6)。
- また、「ふじ」および「もりのかがやき」で策定した輸出用統一防除体系と乳白一重袋を使用した有袋栽培で、無袋栽培と同等の品質が得られることを確認した。
- 輸送時の果実の回転防止、損傷防止、および低酸素・低二酸化炭素による果実品質保持を可能とするリンゴ用脱気包装資材、訴求性と運搬性に優れたイチゴパックを開発した(図7)。
- 個人携行輸出対応型受発注システムを開発し、仙台空港でタイ人観光客への販売を実証した(図8)。





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(独)農業・食品産業技術総合研究機構(果樹研究所)
TEL:029-838-6461
関連情報
パンフレット
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- 高品質な果実等を提供するための流通技術の実証研究
予算・事業概要
事業評価
- 平成29年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 175KB)
- 平成28年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 368KB)
- 平成27年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 532KB)
- 平成26年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 610KB)
- 平成24年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会の議事概要(PDF:226KB)
関連ホームページ
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農林水産技術会議事務局研究推進課
担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
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FAX番号:03-3593-2209