BNI関連の研究の情報
BNIについて
BNI(生物的硝化抑制)とは、作物の根から分泌される物質により土壌中の窒素肥料の硝化を抑制する現象です。このBNIを活用することで、温室効果ガスの削減による気候変動緩和への貢献や、水質汚染の低減が期待できることから、我が国はこのBNIを活用するための研究を推進しています。

BNIとは(PDF : 1,039KB)
BNI強化コムギについて
令和3年に、国際農研が国際機関等と共同で野生近縁種の高いBNI能を交配によって多収コムギ品種に付与したBNI強化コムギの開発に世界で初めて成功しました。研究では窒素肥料を減らしても、通常施肥条件のコムギと同じ生産性を維持することが証明されました。世界で約2億haを越えるコムギ農地への窒素肥料の低減とともに、温室効果ガスの削減や水質汚染の低減に期待が寄せられており、国際的な関心が上昇しています。BNI強化コムギとは(PDF : 967KB)
BNI関連の研究情報まとめ
1.BNI強化コムギの開発・普及
《実施事業》
(海外での事業)
- ネパールでの実証事業
- メキシコでの研究事業
- インドでの実証事業
(国内での事業)
- 国内向けBNI強化コムギの開発の加速化
- 国内研究機能の強化(BNI栽培管理施設の整備)
《研究成果情報》

BNI強化コムギと親系統との生育の違い(国際農研提供)
2.コムギ以外でのBNI能の活用
《実施事業》
《研究成果情報》
トウモロコシ

・ソルガム

- ソルガム根からの生物硝化抑制物質の分泌機構の解析
- ソルガムの根の生物的硝化抑制(BNI)物質の同定と特性
- ソルゴレオンはソルガムの重要な生物的硝化抑制物質の一つである
- 根圏土壌pHの低下はソルガムでの生物的硝化抑制に関わる一つの因子である
- ソルガム根での生物的硝化抑制物質の分泌は転写レベルで制御されている
- ソルガム根での難水溶性と水溶性の硝化抑制物質の分泌機構には差異がある
- ソルガムの⽣物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌の抑制が関連する

- 硝化を抑制する熱帯イネ科牧草
- 熱帯牧草Brachiaria humidicola の硝酸化成抑制作用のアンモニウムイオンや低pHによる誘導
- ブラキアリアは株間土壌のアンモニア酸化古細菌を抑制し硝化速度を低減する
3.国際的な情報発信・研究交流の活性化
各種国際会議でBNI研究について報告するとともに、国際農研がBNIコンソーシアム活動を推進しています。

(画像)G7宮崎農業大臣会合で国際農研が報告
お問合せ先
農林水産技術会議事務局国際研究官室
ダイヤルイン:03-3502-7467