安全な路網計画のための崩壊危険地ピンポイント抽出技術
- 課題番号
- 26079C
- 研究グループ
- 森林総合研究所、信州大学、 長野県林業総合センター
岐阜県森林研究所、鳥取県林業試験場 - 研究総括者
- 森林総合研究所 大丸 裕武
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 安全な路網計画のための崩壊危険地ピンポイント抽出技術(PDF : 1507.6KB)
1 研究の背景・目的・成果
近年、国内の森林蓄積の増大を受けて林業の成長ポテンシャルが注目され、森林路網の整備が急がれている。一方で、各地で記録的な豪雨が頻発し、林業の低コスト化と国土保全を両立させる技術が必要とされている。そこで、災害に強い路網整備を実現するために必要な危険地形の判読・抽出技術、危険地形を考慮したルート設計、丈夫な路体を構築する施工管理技術など林業現場・技術者を支援する技術を開発した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) CS立体図や地形判読支援ツールを用いて、地形から危険地を抽出する技術を開発した。また、スマートフォンなどの身近な端末で、現地で危険地を把握するシステムを開発した。
(2) 危険地におけるルート選定を支援するため、危険地を回避する路網配置自動化プログラムを開発した。
(3) 安定した路盤を作るための盛土施工管理基準、危険個所で崩壊を誘発させないための路面排水指針を現地の実態調査に基づき作成した。
(4) これらの成果を反映したテキストと林業現場で用いる損壊危険度チェックシートを作成し、“災害に強い道づくり”に必要な支援技術を開発した。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) 戸田堅一郎他.曲率と傾斜による立体図法(CS立体図)を用いた地形判読.森林立地,56 (2), 75-79.
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 研究期間中に全国各地で80件以上の講習会・講演会などの普及活動を行い、3年間で2,000人以上へ地形判読に基づく危険地抽出と“災害に強い道づくり”の考え方を普及した。
(2) 研究成果を用いて整備された静岡県のCS立体図は、2016年12月にG空間情報センターでダウンロード数ランキング1位を記録した。
(3) 日本森林技術協会主催の森林情報士1級の講習内容に、CS立体図と路網配置自動化プログラムが採用され、プロジェクトの成果は、今後、エキスパート森林技術者必須の技術にもなる。
【普及目標】
(1) 2017年には、全国版のCS立体図(10mメッシュ)を公開し、誰でも簡単に山地の地形を認識できる環境を整備する予定である。
(2) 自治体による詳細版CS立体図( 約1m解像度)の整備とオープンデータ化を支援する。
(3) 各地でスマートフォンによる地形判読と丈夫な道づくりの講習会を開催する。
(4) 将来的には、地形判読を森林技術者の必須のスキルとして定着させ、各地域に“ホームドクター”となる森林技術者が定着するような時代とするため、技術の普及活動を継続・強化する。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
崩壊危険地を的確に回避できる林業技術が確立されることにより、安全な場所で集約的に木材生産を行うことが可能になり、木材生産コストだけでなく、防災コストも縮減される。全国のCS立体図が整備され、地域防災のレベルアップや地域振興に大きく貢献する。
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森林総合研究所
大丸 裕武
TEL029-829-8232
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