キュウリ及びズッキーニに発生する複数種ウイルスを完全防除する混合ワクチンの開発
- 課題番号
- 27027C
- 研究グループ
- 京都府農林水産技術センター、宇都宮大学、宮城県農業・園芸総合研究所、長野県野菜花き試験場、(株)微生物化学研究所
- 研究総括者
- 京都府農林水産技術センター 木村 重光
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- キュウリ及びズッキーニに発生する複数種ウイルスを完全防除する混合ワクチンの開発(PDF : 1136.3KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
植物ワクチンは大きな生産阻害要因であるウイルス病の効果的な防除手段だが、商品化されているのはZYMV※1ワクチンのみである。生産現場では栽培中に発生する複数のウイルスに対応できる混合ワクチンが求められており、その商品化を図ることを目的とする。このため、CMV※2及びWMV※3弱毒株の混合製剤法を確立するとともに、製剤の生物農薬登録に必要な試験を実施する。また、ZYMVワクチンとの混用により、露地キュウリ栽培で主に発生するこれら3種類のウイルスを同時防除する技術を実証することを達成目標とする。
1 ZYMV:ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、※2 CMV:キュウリモザイクウイルス、※3 WMV:スイカモザイクウイルス
2 研究の主要な成果
(1) 異なる2種類の弱毒株を植物に安定的に感染させる濃度を本研究により確定したことから、弱毒ウイルス感染葉濃縮汁液を接種し感染させた苗(ワクチン苗)を商品化した。
(2) 2カ年約2万5千株のワクチン苗を用いた現地実証を行い、ワクチン苗の現地適応性を確認するとともに、品質等への影響も無く安心して使用できることを明らかにした。
(3) 2種ウイルスに有効な異なる2種類の弱毒株を感染力を落とさずに混合し、製剤化する工程を確立し、混合製剤(世界初)を開発した。
(4) 2種CW※4及び3種CWZ※5ワクチンの薬効・薬害試験により、キュウリモザイク病に対する防除効果と収量及び品質等への薬害がないことを明らかにし、3種類のウイルスを同時防除する技術として確立した。
4 CMVとWMV弱毒株を混合した2種混合ワクチン、※5 2種混合ワクチンとZYMVワクチン(商品名:キュービオZY-02)を混用したワクチン
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)ワクチン苗は平成30年度より、キュウリ生産面積1位の福島県を中心に全国での現地実証を含めた展示普及、京都府、宮城県、長野県では普及センターと協力し、ワクチン苗の普及を行う。
(2)混合ワクチンを接種した苗は、既存のZYMVワクチン苗の流通経路を活用して全国のウリ科産地へ販売される。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、全国キュウリ産地での実証を含め、ワクチン苗10万株の販売を計画。
(2) 5年後(2022年度)は、ワクチン苗100万株を販売予定。
(3) 最終的には、220万株以上のワクチン苗を普及。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) ウイルス病の効果的な防除対策となり、安定的な生産、品質の向上、価格の安定化に寄与し、混合ワクチンを接種した苗が展開することで、キュウリ、ズッキーニなどウリ科作物で6~12億円のモザイク病被害を抑制。
(2) 本研究の成果を活用したワクチン苗や製剤等の商品の普及によって、殺虫剤等の化学農薬に依存しない減農薬栽培による安全で安心感のある農産物の国民への提供に貢献する。
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京都府農林水産技術センター生物資源研究センター
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