洗練かつ高効率化したゲノム編集およびエピゲノム編集による超迅速イネ育種法の開発
- 年度
- 2018
- ステージ
- シーズ創出
- 分野
- 農業(水稲)
- 適応地域
- 全国
- キーワード
- イネ、ゲノム編集、エピゲノム編集、new plant breeding techniques (NPBT)、in planta 法
- 課題番号
- 27001A
- 研究グループ
- 農研機構生物機能利用研究部門
- 研究総括者
- 農研機構 若佐 雄也
- 研究タイプ
- 一般型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 洗練かつ高効率化したゲノム編集およびエピゲノム編集による超迅速イネ育種法の開発(PDF : 1094.4KB)
1 研究の目的・終了時の達成目標
本課題の目標は、種子胚組織へ直接アグロバクテリウムを感染させ、そこからカルスを経ることなく形質転換植物を獲得する技術を確立し、この技術を介してCRISPR/Cas9 システムによる機能改変イネ、およびRNA 依存性DNA メチル化(RdDM) によるエピ変異体作出を可能とすることで、これまでにない迅速なゲノム編集法およびエピゲノム編集法を提供することにある。また、本技術が従来のカルス培養を経る方法よりも優位な方法であることを証明し、実際に実用的な有用形質を導入したイネの開発を行なうことで、本新技術が有用な技術シーズであることを実証する。
2 研究の主要な成果
(1) イネ発芽種子胚周辺組織への高効率アグロバクテリウム感染条件を見出した。この条件下では、発芽種子の鞘葉、第1 葉、第2 葉、胚盤組織に対して感染が高効率で起こることを示した。
(2) イネメリステム(分裂組織:新しい葉や穂が作られる組織)にはアグロバクテリウム感染は起こりにくいが、メリステムから分化後の幼穂組織では、花粉や胚珠を含んだ広範囲にアグロバクテリウム感染が認められることを明らかにした。
3 今後の展開方向
(1) イネ発芽種子若しくは幼穂へのアグロバクテリウム感染による in planta 形質転換法を確立し、従来のカルスを出発材料とした場合よりも格段に高効率化した形質転換手法を提供する。
(2) 上記 in planta 形質転換手法を介したゲノム編集、エピゲノム編集をおこない、様々な形質改変イネを作出する。
(3) 実際に有用形質を付与したゲノム編集、若しくはエピゲノム編集イネを作出し、実用化をおこなう。
【今後の開発目標】
(1) 2年後(2019年度)は、イネにおける in planta 形質転換法を開発する。
(2) 5年後(2022年度)は、in planta 法を用いてゲノム編集、エピゲノム編集イネを作出する。
(3) 最終的には、画期的な高効率イネ育種法の一つとして有効活用される。
4 開発した技術シーズ・知見の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 本技術の波及効果としては、開発期間が極めて短く、開発コストも低い育種法であることから、我々の研究成果が活用されることでイネ育種が活性化される。
(2) 国民生活への貢献としては、数多くの画期的優良形質を付与したイネが生産者・消費者に迅速、且つ安価に提供される。
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