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健全種ばれいしょ生産のためのジャガイモ黒あし病の発生要因の解明と高度診断法の開発

年度
2018
ステージ
実用技術
分野
農業(病害虫)
適応地域
全国
キーワード
ジャガイモ、Pectobacterium属・Dickeya属細菌、種ばれいしょ、塊茎伝染、生産工程管理
課題番号
27005C
研究グループ
農研機構北海道農業研究センター、
農研機構種苗管理センター、道総研十勝農業試験場、
十勝農業協同組合連合会、北海道大学、ホクサン株式会社
研究総括者
農研機構北海道農業研究センター 大木 健広
研究タイプ
現場ニーズ対応型 Bタイプ
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
健全種ばれいしょ生産のためのジャガイモ黒あし病の発生要因の解明と高度診断法の開発(PDF : 1033.1KB)

1 研究の目的・終了時達成目標

近年、北海道の種ばいれしょ生産圃場において、ジャガイモ黒あし病が発生している。本病は、細菌によりジャガイモの塊茎が腐敗する病気で、保菌した種塊茎で広がるとされてきたが、その他の感染経路は不明のため、種ばれいしょ安定生産の大きな阻害要因となっている。本研究では、黒あし病の蔓延防止を速やかに実現し、健全種ばれいしょの安定生産を実現することを達成目標とし、日本で発生する黒あし病菌の正確な同定と簡易診断法の開発、種ばれいしょ生産工程における発生生態の解明、生産工程管理に基づく蔓延防止策の策定に取り組んだ。

2 研究の主要な成果

(1) 国内で発生する黒あし病菌は、日本で初確認のP. carotovorum subsp. brasilienseを含む4菌種であることを明らかにした。

(2) 増菌培養と国内発生黒あし病菌4菌種を簡易に検出できるマルチプレックスPCRを組み合わせた診断技術を開発し、診断マニュアルを作成した。

(3) 生産工程管理の考え方に基づき、種ばれいしょ生産工程における危害要因リストを作成し、黒あし病蔓延防止に向けた手引きを作成した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 特願出願(3月中) 「植物病原細菌の検出及び識別方法」(出願人:ホクサン株式会社・北海道大学)

(2) Fujimoto, T. et al. First report of potato blackleg caused by Pectobacterium carotovorum subsp. brasiliense in Japan. Plant Dis. 101, 241 (2017)

(3) Fujimoto, T. et al. Biochemical, physiological, and molecular characterization of Dickeya dianthicola (formerly named Erwinia chrysanthemi) causing potato blackleg disease in Japan. J. Gen. Plant Pathol. (in press)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1)増菌培養とマルチプレックスPCRを組み合わせた黒あし病診断マニュアルを作成し普及に努めるとともに、特許出願したMTH-MA法による新規検出法については製品化を検討する。

(2)黒あし病蔓延防止策に向けた生産工程管理の手引きを作成するとともに、各種講習会を通じて、種ばれいしょ生産現場へ迅速な普及に努める。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年度)は、種ばれいしょ生産現場において、開発した黒あし病診断技術が普及する。

(2) 5年後(2022年度)は、生産工程管理にもとづく蔓延防止策が、種ばれいしょ生産現場で活用される。

(3) 最終的には、黒あし病の蔓延を防ぎ、健全種ばれいしょの安定生産・供給を達成する。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

(1) 黒あし病の蔓延が防止されることで、抜き取りなどに係る管理コストを低減させ、健全種ばれいしょの安定生産を達成する。

(2) 健全種ばれいしょの安定生産を通じ、国民が求める安全安心な国産ばれいしょの安定供給に貢献する。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構北海道農業研究センター

TEL 011-857-9212

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