バレイショのそうか病対策のための土壌酸度の簡易評価手法の確立と現場導入
- 課題番号
- 27003C
- 研究グループ
- 農研機構中央農業研究センター、農研機構九州沖縄農業研究センター、十勝農業試験場、長崎県農林技術開発センター、鹿児島県農業開発総合センター、十勝農業改良普及センター、
十勝農業協同組合連合会、長崎県島原振興局 - 研究総括者
- 農研機構中央農業研究センター 久保寺 秀夫
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- バレイショのそうか病対策のための土壌酸度の簡易評価手法の確立と現場導入(PDF : 1237.4KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
バレイショの深刻な病害であるそうか病対策のため、土壌の酸度を簡易診断する技術を確立し、病害抑制と酸性障害回避を両立する土壌管理を可能にすることを目的とする。このため、現行の測定が煩雑な酸度指標である交換酸度y1に替わる指標の土壌pH(KCl)の測定法を簡略化しマニュアルを作成することや、土壌pH(KCl)と発病度やy1との関係を解明してpH(KCl)の基準値を策定し土壌酸度管理の指針を得ることを達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1)土壌pH(KCl)測定法を簡略化し、分析機関での測定を効率化した。また、専門外の普及指導担当者や生産者でも現場で迅速簡易測定が可能な土壌分析手順のマニュアルをまとめた。
(2)pH(KCl)が高いとそうか病の発病リスクが、低いと酸性障害発生のリスクが高くなる。長崎県と鹿児島県のバレイショ産地(赤黄色土、暗赤色土、淡色黒ボク土)で、現地発病調査や栽培試験結果を踏まえてそうか病抑制と酸性障害回避を両立するpH(KCl)基準値(3.8ないし4.0)を提示した。また、土壌特性や輪作体系の面から酸度管理による対策が難しい北海道十勝地域では、多点の現地調査を元にそうか病対策のための管理指針
を明らかにした。
(3)耐酸性の異なるそうか病菌の菌種ごとに、土壌pH(KCl)と発病度の関係を解明した。
(4)土壌pH(KCl)とy1の関係を地域・土壌種ごとに解析して精密な換算式を提示した。
公表した主な特許・品種・論文
(1)久保寺秀夫他.バレイショのそうか病対策のための土壌酸性の簡易迅速診断手法.平成29年度農研機構普及成果情報(2018)
(2) 白尾吏他.ジャガイモそうか病対策のための土壌酸度管理における土壌pH(KCl)指標.平成29年度鹿児島県普及情報(2018)
(3)白尾吏他.ジャガイモそうか病の菌種別の土壌pH(KCl)と発病との関係.平成29年度鹿児島県研究情報(2018)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)都道府県やJAなどの土壌診断機関に土壌pH(KCl)の簡易測定技術を受け渡し、バレイショの土壌診断項目として活用する。このアウトリーチ活動の一部は、現地講習会やYouTube動画公開の形で研究期間中から開始している。
(2)y1とpH(KCl)の精確な読み替えが可能になったことから、pH(KCl)を土壌酸性の本質であるアルミニウムイオン量を直接に評価する診断技術として、バレイショ以外での活用(土壌診断や土壌調査)を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、九州の課題参画県の土壌診断機関でpH(KCl)をバレイショの土壌診断項目に導入。
(2) 5年後(2022年度)は、バレイショの土壌診断におけるpH(KCl)の活用拡大。
(3) 最終的には、pH(KCl)簡易測定をバレイショはじめ畑土壌全般での広い活用を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 土壌酸度の適正管理によるそうか病抑制により16億円の経済効果(発病が3割軽減された場合)が期待できる。また土壌の過度の酸性化回避により収量改善や減肥が可能となり農家収益増に寄与できる。
(2) 土壌酸度が簡易にモニタリングできるため、現状ではそうか病を警戒して堆肥や石灰の施用が控えられているバレイショ畑でもこれらの土壌改良資材が適正に施用でき、地力の長期的な維持による食糧安定生産に貢献できる。
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