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農林水産技術会議

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蛍光指紋による食品・農産物の危害要因迅速検査システムの開発

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
食品(システム)
適応地域
全国
キーワード
蛍光指紋、食肉、生菌数、かび毒、鮮度
課題番号
25054C
研究グループ
農研機構食品総合研究所、日本穀物検定協会、
豊橋技術科学大学、(株)デュナミスト、荏原実業(株)
東京海洋大学
研究総括者
農研機構食品総合研究所 杉山純一
研究タイプ
研究成果実用型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
蛍光指紋による食品・農産物の危害要因迅速検査システムの開発(PDF : 924.7KB)

1 研究の背景・目的・目標

食品取り扱い現場において、安全性を担保するための危害要因の検知は、企業としての責務であるが、リスクの高い生菌数、かび毒等の検出には、未だに時間、手間、コストのかかる分析法に頼らざる を得ない。本研究では、蛍光指紋という先端技術により、(1)検査機関で公定法による検査前のス クリーニング手法としての確立、(2)食品産業が簡単・迅速にこれらの危害要因を検査できる低コ ストの検査装置を開発することを目的とする。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 蛍光指紋を使ったスクリーニングにより、事前に良品を除くというために利用すれば、分析点数の92%の化学分析が不要になる場合もあり、分析日数の短縮化と費用削減に貢献することが期待される。

(2) ポイント型検査裝置に関しては、2次試作において、特定用途に特化した専用機向けの裝置が開発され、事業者とともに現場での活用方法を探っていくレベルにまで性能を向上させた。

(3) イメージング裝置に関しては、食肉生菌数の可視化と、ハードウェアの小型化及び低コスト化を実現した。
製品化においては、精度の保証をどのように行うかが課題である。

(4) 蛍光指紋により、魚の鮮度を推定できることを示すとともに、それを可視化するイメージング計測も可能であることを示した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) Elmasry, G. et al. Non-Invasive sensing of freshness indices of frozen fish and fillets using pretreated excitation-emission matrices, Sensors and Actuators B: Chemical, 228, 237-250 (2016).

(2) Mita, D. et al. Fiber optics fluorescence fingerprint measurement for aerobic plate count prediction on sliced beef surface, LWT - Food Science and Technology, 68, 14-20 (2015).

(3) Elmasry, G. et al. Freshness estimation of intact frozen fish using fluorescence spectroscopy and chemometrics of excitation-emission matrix, Talanta, 14, 145-156 (2015)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) かび毒に関しては、この3年間でのデオキシニバレノールの発生は極めて少なく、基礎データが不足している状態のため、実用化に向けて引き続きデータの蓄積が必要である。

(2) 試作されたポイント検査裝置による検証実験を行い、改善点の抽出を行うとともに、より低コスト・高精度の裝置への方向性を見出した。

(3) イメージング裝置に関しては、同一畜種でも部位により蛍光強度が異なり、推定精度を向上させる為には部位毎に検量線を用意する必要がある。また、製品化においては精度の保証をどうするかが課題である。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1) かび毒に関しては、成果の普及により、検査にかかるコスト、人件費、時間が大幅に短縮される。これにより、同一料金でも多くの検体の検査が可能になる。

(2) 消費者は、今まで以上に安全・安心を保証された食品を購入することができ、食品産業は、検査の迅速化・コスト削減ができる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構

食品研究部門
TEL 029-838-7992

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