マウス加齢性難聴を指標とした抗老化食品素材の短期間スクリーニング評価
- 課題番号
- 27008A
- 研究グループ
- 農研機構食品研究部門、畜産研究部門
- 研究総括者
- 農研機構 大池 秀明
- 研究タイプ
- 一般型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- マウス加齢性難聴を指標とした抗老化食品素材の短期間スクリーニング評価(PDF : 952.2KB)
1 研究の目的・終了時の達成目標
食品の機能性に関してヒト試験によるエビデンスが急増しているが、老化を対象としたものについては、数年~数十年の検証が必要な場合が多く、研究がなかなか進んでいない。それにも関わらず、抗老化を期待させる健康食品や食材情報は氾濫しており、真偽が不明なものが多い。そこで、
少なくとも動物試験レベルで抗老化効果の根拠を得るため、マウス加齢性難聴の抑制効果を指標とした抗老化食品素材の探索を実施する。また、その効果と相関するバイオマーカーを取得し、食品開発に向けた足掛かりとする。
2 研究の主要な成果
(1) 42種類の農産物素材および8種類の乳酸菌について、マウス加齢性難聴の抑制効果を評価したところ、乳酸菌H61株、春菊、キンカンについて、有意に抑制する結果を得た。
(2)マウスの血中代謝物をNMRにより解析し、加齢性難聴の進行度と相関が高いシグナルを得た。今後、加齢性難聴抑制効果を判断するバイオマーカーとしての利用可能性が期待される。
(3)マウス加齢性難聴の抑制効果と相関する乳酸菌中代謝物を解析し、相関の高い代謝物を複数同定した。これらをマーカーとすることで、加齢性難聴抑制効果が高い乳酸菌を選抜できる可能性が期待される。
公表した主な特許・論文
(1)大池秀明.加齢性難聴を抑制する農産物素材の探索、アグリバイオ1(9), 86-89 (2017).
(2)大池秀明.超高齢社会を支える老化予防食品―老化予防のエビデンス化、FFIジャーナル222(4), 299-305 (2017).
3 今後の展開方向
(1) 日常的に摂取可能な量で、十分に効果が期待できる加齢性難聴予防食品を開発する。
(2) マウスで得られた効果をヒトで検証するための方法を開発する。
【今後の開発目標】
(1) 2年後(2019年度)は、農産物や乳酸菌を利用して、十分な効果が得られる食品素材を開発する。
(2) 5年後(2022年度)は、ヒトにおける効果を検証するためのバイオマーカーや解析技術を開発する。
(3) 最終的には、製品を市販することで、ヒトの加齢性難聴を抑制する食品が実現する。
4 開発した技術シーズ・知見の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 加齢性難聴抑制食品の製品化と販売により、年間60億円程度の新規市場開拓が見込まれる。
(2) 聴覚老化の進行を遅延させることで、高齢期におけるQOLの向上に貢献する。また、難聴予防は認知症予防の最大因子との報告があり、認知症の発症遅延に貢献できる可能性がある。
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農研機構
食品研究部門 大池 秀明
E-mail:oike[at]affrc.go.jp
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TEL 029-838-8088
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