新規魚油由来脂肪酸の事業化を見据えた基盤・実証研究
- 課題番号
- 27016A
- 研究グループ
- 徳島大学大学院医歯薬学研究部、日本水産株式会社
中央研究所、徳島県立工業技術センター - 研究総括者
- 徳島大学大学院医歯薬学研究部 阪上 浩
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 新規魚油由来脂肪酸の事業化を見据えた基盤・実証研究(PDF : 1010.0KB)
1 研究の目的・終了時の達成目標
本研究課題においては、
(1) 疾患モデル動物での有効性の確立と魚油由来脂肪酸の作用機序の解明
(2) 魚油由来脂肪酸の精製と有効成分の同定
(3) 脂肪酸分析法の開発
により、魚油由来の新規脂肪酸のNASH(非アルコール性脂肪肝)や動脈硬化症への予防・治療法の開発を目標とした。
2 研究の主要な成果
(1) 魚油由来脂肪酸の血中コレステロール値低下作用及び動脈硬化予防効果を発見した。
(2) 魚油由来脂肪酸のヒトにおける内皮機能改善作用及び有意に目覚めがよくなる作用を発見した。
(3) サプリメントとしてのプロトタイプを開発した。
(4) 魚油の有効成分として一価不飽和脂肪酸の抽出・精製する方法を得た。
公表した主な特許・論文
(1) 特願 2017-21885 炎症を伴う肝疾患の治療または予防剤 (出願人:徳島大学、日本水産株式会社)
(2) 特願 2017-10145 血管内皮機能の改善用組成物 (出願人:徳島大学、日本水産株式会社)
(3) 特願 2018-011246 リウマチ性疾患の治療用または予防用のための組成物 (出願人:徳島大学、日本水産株式会社)
3 今後の展開方向
(1) 研究成果を活用し実用化に結びつけ、さらには機能性食品としての応用研究へ展開を見据えて、臨床試験を開始しており、数年以内の機能性食品としての実装を目指す。
(2) 成分脂肪酸の獲得ができたことから、脂肪酸製剤へのステップへと進む。
【今後の開発目標】
(1) 2年後(2019年度)は、機能性表示食品として開発する。
(2) 5年後(2022年度)は、機能性表示食品のサプリメントとして実装する。
(3) 最終的に成分脂肪酸の製品を市場することで、生活習慣病の重症化予防によって消費者に貢献し、新需要を創出によって生産者に貢献する。
4 開発した技術シーズ・知見の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
(1) これまで食用にならない廃棄予定のサンマの有効利用であり、将来的にはサンマ魚油から抽出・精製し、製剤化することで医療分野への利用も想定され、国内において年間約400億円(算出根拠: EPA売り上げ実績)の売上げが見込まれる。EPAは海外市場まで含めると1000億円以上のマーケットが既に確立していることから、国外展開にて同等の効果が見込まれる。
(2) 創出される技術・成果を将来迅速に活用することで、現在国民を悩ます生活習慣病とその重症化等の社会的な課題解決などへの貢献によって、誰もが元気に暮らせる社会の実現に寄与し、食の機能性を活用した健康な生活の実現に貢献することができる。
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徳島大学代謝栄養学分野
TEL 088-633-7091(2516)
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