このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

糖鎖修飾をヒト型化した組換えカイコによる世界唯一の医療用タンパク質生産系の開発

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
農業(カイコ)
適応地域
全国
キーワード
カイコ、糖鎖、タンパク質生産、遺伝子組換え、遺伝子発現
課題番号
25015A
研究グループ
国立大学法人 大阪大学生物工学国際交流センター
独立行政法人 農業生物資源研究所
シスメックス株式会社
研究総括者
大阪大学 藤山 和仁
研究タイプ
A タイプ
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
糖鎖修飾をヒト型化した組換えカイコによる世界唯一の医療用タンパク質生産系の開発(PDF : 941.6KB)

1 研究の背景・目的・目標

医農連携による新たなカイコ産業の創出が期待されている。カイコによる組換えタンパク質生産は、我が国が世界に先駆ける技術を有する。また、少量多品種を同時生産でき、低コストが魅力である。
カイコで生産した医療用タンパク質の糖鎖構造はヒトと同等ではない。そこで、ヒトと同等の糖鎖付加機能を持つカイコを組換え技術により作出する。さらに、そのカイコを基盤にしてヒト型化糖鎖を持つ医療用モデルタンパク質(血液凝固タンパク質など)を生産させて効果を実証することを目的とした。

2 研究の内容・主要な成果

(1) カイコ糖鎖修飾機能のヒト型化のために必要な糖鎖改変遺伝子を絞り込んだ。

(2) ヒトと同等の糖鎖構造を持つカイコを組換え技術を用いて作出し、糖鎖修飾機能がヒト型に改変できたことを、質量分析機器などを用いて分析し、明らかにした。

(3) (2)で作出したカイコをプラットフォームとして、組換えインターフェロン、アンチトロンビンを生産した。これら組換え医療用タンパク質の糖鎖がヒト型に改変されていることを確認し、ヒト型糖鎖付加組換えカイコの有用性を世界で初めて示した。

(4) カイコで効率的にタンパク質を生産するため、遺伝子発現を約10倍高める技術を開発した。

公表した主な特許・論文

(1) Kajiura, H. et al. Sialylation potentials of the silkworm, Bombyx mori; B. mori possesses an active α2,6- sialyltransferase Glycobiology 25 , 1441-1453 (2015).

(2) 立松謙一郎 他. GMカイコの医療関連タンパク質生産への利用と技術の高度化.生物工学会誌 93(6), 337-340 (2015)

(3) 野村 雄 他. カイコ-バキュロウイルス発現系を用いた糖タンパク質の発現と糖鎖構造の改変.生物工学会誌 93(6), 341-344 (2015)

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1) ヒト型糖鎖付加機能を持つ組換えカイコを作出したことにより、ヒト型糖鎖を持つ組換えタンパク質の生産が可能となり、動物細胞生産に代わる生産宿主として活用できる。

(2)予防医療を目指した検査試薬生産や、動物医薬としての抗体生産などへ適用し、カイコによるモノづくり基盤研究に発展させることができ、新規カイコ産業へ発展し、地域雇用創出につながる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

(1) 予防医療のための検査試薬等の医療用タンパク質の低コスト化が実現できる。

(2) 動物医薬としての抗体生産や治療剤の生産に、カイコによる組換えタンパク質生産が適用することにより、低コストで生産物を安定的に畜産農家に提供できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

大阪大学生物工学国際交流センター

TEL 06-6879-7455

同じ分野の研究成果

農業
水稲
洗練かつ高効率化したゲノム編集およびエピゲノム編集による超迅速イネ育種法の開発
農業
水稲
「ひとめぼれ」大規模交配集団を用いた有用遺伝子単離と遺伝子相互作用解明
農業
野菜
イチゴの輸送適性に優れる品種育成を迅速に実現するゲノム育種法開発
農業
野菜
イチゴの遺伝子解析用ウイルスベクターの構築と利用技術の開発
農業
生産資材
耐病性向上および根寄生雑草防除に活用するための菌根菌共生最適化技術の開発

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader