臭いや黄変が生じないダイコン品種の育成とその普及に向けた安定生産技術・食品の開発
- 課題番号
- 26092C
- 研究グループ
- 群馬県農業技術センター、宮崎県総合農業試験場畑作園芸支場、お茶の水女子大学、宮崎大学、渡辺農事(株)、山義食品工業(株)、(株)中央フーズ、ケンコーマヨネーズ(株)、JA宮崎中央、宮崎県
- 研究総括者
- (国研)農研機構 野菜花き研究部門 石田 正彦
- 研究タイプ
- 育種対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~29年(4年間)
- PDF版
- 臭いや黄変が生じないダイコン品種の育成とその普及に向けた安定生産技術・食品の開発(PDF : 1147.1KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
大根臭や黄変の発生による大根加工品の品質低下に関わる問題を解決するため、その原因となる成分グルコラファサチンを含まない、大根加工品原料に適したダイコン品種を育成するとともに、その安定生産技術を確立する。さらに、臭わずに黄変しない新品種の特性を生かしたたくあん漬やおろし、サラダ、切り干しといった新たな加工・業務食品を開発し、得られた成果の普及基盤を構築する。
2 研究の主要な成果
(1) グルコラファサチンを含まないF1品種「悠白」と「サラホワイト」を育成した。「悠白」は肉質が緻密でたくあん漬をはじめとする漬物原料用に、「サラホワイト」は肉質が硬くて固形分が多く含まれ大根おろし等の生食加工や切り干しの原料用や青果用に適する。
(2) 「悠白」と「サラホワイト」は大根臭や黄変の元となるグルコラファサチンを含まないため、その大根加工品では大根臭や黄変が生じず、辛味や風味が残存することでフレッシュ感が保持されることを明らかにした。
(3) [悠白」と「サラホワイト」の普及予定地を対象とした安定生産栽培技術を確立した。「悠白」は秋播き秋冬どり作型に、「サラホワイト」は夏播き秋どり、秋播き冬どり作型に適する。
(4) 「悠白」を用いたたくあん漬、「サラホワイト」を用いた業務用のおろしやサラダ、切り干しは、消費者の嗜好性が高いことを確認した。たくあん漬とサラダについては試験販売を行った。
(5) 両品種の栽培と利用に関するマニュアル書を作成した。
公表した主な特許・品種・論文
(1) 品種登録 第26230 ダイコン品種「悠白」を品種登録(H29年8月) (農研機構、渡辺農事(株))
(2) 品種登録 第26231 ダイコン品種「サラホワイト」を品種登録(H29年8月) (農研機構、渡辺農事(株))
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)多様な加工用途と周年供給に対応するためにグルコラファサチンを含まない後継品種を育成するとともに、「悠白」と「サラホワイト」と併せての普及を目指す。
(2)グルコラファサチン欠失性品種の普及と併せて、事業内で開発した「臭いや黄変が生じない大根加工品」の普及と、新たな商品開発を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、多様な加工用途に対応するべく当該形質を有する系統を新規品種登録出願予定。
(2) 5年後(2022年度)は、グルコラファサチン欠失性品種の100ha以上の普及を目指す。
(3) 最終的には、グルコラファサチン欠失性品種の1,000ha以上の普及を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) グルコラファサチンを含まない品種が100ha普及することと大根臭や黄変が発生しない特性を生かした新たな加工・業務食品が開発されることで、20億円の経済効果が期待できる。
(2) 消費者の嗜好性と実需者ニーズに合致した高品質な大根加工食品の普及が図られることにより、国産ダイコンおよびその加工品の生産と消費拡大に貢献できる。
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(国研)農研機構
野菜花き研究部門 石田正彦
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TEL 029-838-6574