北海道の台風被害によるとうもろこしサイレージのかび毒汚染調査研究
- 課題番号
- 28044C
- 研究グループ
- 北海道立総合研究機構畜産試験場、
十勝農業協同組合連合会 - 研究総括者
- 北海道立総合研究機構畜産試験場 出口健三郎
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成28年(1年間)
- PDF版
- 北海道の台風被害によるとうもろこしサイレージのかび毒汚染調査研究(PDF : 1353.8KB)
1 研究の背景・目的・成果
北海道では、平成28年8月中~下旬に到来した台風により、飼料用とうもろこしの栽培圃場において広範囲に倒伏被害が発生した。台風の到来時期が例年よりも早く、倒伏の発生から収穫までの間に長期を要したことから、その間にかび毒汚染が進行した可能性が懸念されている。そこで、台風被害地域におけるかび毒汚染実態と倒伏がかび毒汚染に及ぼす影響を解明するとともに、高濃度のかび毒汚染が疑われる事例が生じた際に、生産現場で迅速な対応がとれるよう、簡易なデオキシニバレノール分析法について検討した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 台風被害の発生した十勝管内の平成28年産とうもろこしサイレージ233点のデオキシニバレノール(DON)濃度とゼアラレノン(ZEA)濃度を、ELISAキットを用いて測定したところ、DON(平均値±標準偏差)は、風乾物中で4.4±4.6mg/kgであり、過去に同地域で実施した調査結果の3~4倍の濃度であった。現物中DON濃度の平均値は1.5±1.5mg/kgであり、3か月以上の牛用飼料の管理基準値である4mg/kgを超過した試料は全体の4.3%であった。
(2) 倒伏および非倒伏圃場原料由来のサイレージ中かび毒濃度を比較した結果、DON濃度に差は見られなかったが、ZEA濃度は、倒伏発生圃場由来のサイレージで有意に高かった。倒伏によりZEA濃度が高まる可能性があることが明らかになった。
(3) 試料の乾燥・粉砕工程を省略して、サイレージ生試料からELISAキットにより定量できる簡易抽出法を検討し、浸漬やミキサー抽出等の簡易法により慣行法と同等の分析値が得られることを明らかにした。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 調査結果は調査に協力していただいた普及センターおよび生産者に報告する。
(2) DONの簡易分析法については今後実用化に向けて試験研究を行う。
【普及目標】
(1) 2017年は、かび毒汚染実態と倒伏の影響について、関連学会や生産者を対象とした学習会などで発表し、関係者に広く情報を周知する。
(2) 本研究で得られた基礎的な知見を基に、3~5年後には、生産現場で簡易迅速にDON濃度をスクリーニングできる技術を確立する。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
将来的に、簡易迅速にDON濃度をスクリーニングする技術が確立することにより、高濃度のカビ毒汚染が疑われるような気象条件のときには生産者自らがかび毒のスクリーニング検査を実施することが可能となり、消費者が求める健康な家畜からの安全・安心な畜産物の提供に貢献することができる。
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出口健三郎
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