コムギなまぐさ黒穂病の発生要因の解明とまん延防止策の緊急普及
- 課題番号
- 28042C
- 研究グループ
- 農研機構北海道農業研究センター、
北海道総合研究機構中央農業試験場・上川農業試験場、
北海道農政部 - 研究総括者
- 農研機構北海道農業研究センター 八田浩一
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成28年(1年間)
- PDF版
- コムギなまぐさ黒穂病の発生要因の解明とまん延防止策の緊急普及(PDF : 1259.3KB)
1 研究の背景・目的・成果
「コムギなまぐさ黒穂病」に罹病した子実には胞子が充満し異臭を放つため、収穫や流通時に混入すると生産物の品質を著しく低下させる。このため北海道のような大規模産地においては被害が大きい病害である。
これまで、種子消毒などの対策を講じてきたが、発生の拡大を抑え切れていない。本課題ではこれ以上のまん延を防ぐため、コムギなまぐさ黒穂病発生要因分析調査した。その結果、連作が発症を助長していることを明らかにした。また現時点での本病害に関する情報を整理し「コムギなまぐさ黒穂病Q&A」を作成した。さらに、今後のコムギなまぐさ黒穂病対策技術の開発のため、常発圃場を確保、試験用圃場として造成した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 多発生ほ場と未発生ほ場の比較から、連作によって発症リスクが著しく高まることを明らかにした。
(2) 病原胞子の発芽適温が既報よりも低く、光によって発芽が助長される可能性を見いだした。
(3) 北海道で発病している本病害は、種子伝染が主な感染ルートとする既報と異なり、圃場に蓄積した胞子が感染源となり、小麦の出芽後に感染している可能性を新たに見いだした。
【公表した資料】
(1) コムギなまぐさ黒穂病発生要因分析調査結果 北海道農政部、病害虫防除所、道総研農業研究本部 編
(2) コムギなまぐさ黒穂病Q&A 北海道農政部、病害虫防除所、道総研農業研究本部 編
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) コムギなまぐさ黒穂病のまん延を防止するため、これまでの知見に加え、現在、考えられる最も効果が高い対策を精査し、防除のポイントを明確にした資料をQ&A形式で20,000部作成し、生産者全戸に提供した。また、北海道病害虫防除所のホームページからも閲覧できるように掲載予定。
(2) (一社)北海道米麦改良普及協会の協力の下、全道地域の9カ所で生産技術講習会の一部として、コムギなまぐさ黒穂病Q&Aの内容について、周知を図った。
【普及目標】
(1) 2017年には、発生要因分析調査に基づいた、適期播種、防除法の効果を試験圃場で確認。
(2) 2018年は、上記試験を再度実施、効果を確認すると共に試験圃場の成果を直ちに周知する。
(3) 3~5年後には、病害発生を回避できる栽培法、薬剤防除により、発生面積の増加を抑制する。
(4) 将来的には、発病リスク評価を含む総合防除体系を開発する。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
防除技術が確立することにより、コムギなまぐさ黒穂病の発生面積を抑制できる。コムギなまぐさ黒穂病の発生が抑制できれば、廃耕によって廃棄される生産物を無くし、家畜飼育のための敷きワラや堆肥の移動がこれまでどおり可能になる。
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