ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種の種ばれいしょ養液生産方法の確立
- 課題番号
- 28041C
- 研究グループ
- 農研機構種苗管理センター北海道中央農場、
山口大学、株式会社カネコ種苗 - 研究総括者
- 農研機構種苗管理センター北海道中央農場 三澤 孝
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成28年(1年間)
- PDF版
- ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種の種ばれいしょ養液生産方法の確立(PDF : 1212.4KB)
1 研究の背景・目的・成果
ばれいしょ生産に甚大な被害をもたらすジャガイモシロシストセンチュウが、平成27年に国内初の例として北海道で発生が確認された。しかしながら、発生密度低減のための抵抗性品種は開発段階であり、抵抗性品種の種苗を早急に増殖するための技術もない。このため、本研究では、抵抗性品種の緊急増殖及び普及のため、種苗管理センターにおける養液栽培方式による種ばれいしょの効率的生産に資する技術の確立を図った。その結果、苗から翌年の植付に至るミニチューバー(以下、MnTという)の効率的生産管理上のポイントをおさえた種苗生産システムを構築した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 短期間で苗を生産するための光照射条件として、赤色光と青色光の比が1:1の時に苗地上部を最も繁茂させた。
(2) 海外の先行研究事例等を参考に噴霧式水耕養液栽培装置におけるベッドの形状・噴霧ノズルの性能等を検討し、種ばれいしょ生産ための噴霧式水耕養液栽培装置を開発した。
(3) LEDを用いた環境制御型の閉鎖系施設で苗の定植から塊茎形成を可能にする手法を考案した。
(4) ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種候補AとBでは、収穫後1週間の前貯蔵期間(20℃・湿度90%)を設けることで収穫3ヶ月後の減耗率を抑制できることを明らかにした。
(5) ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種の増殖に活用できるMnT生産のための「MnT栽培マニュアル(基本ほ栽培編)」を作成した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 本研究で開発された種ばれいしょ生産ための噴霧式水耕養液栽培装置を用いて、ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種候補のMnT生産を2017年から開始する予定。
【普及目標】
(1) 2017年は、ジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種候補等のMnTを約3万個生産することを計画。
(2) 2018年は、種苗管理センターがジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性品種候補等のMnTを用いて作成した「MnT栽培マニュアル(基本ほ栽培編)」に基づいて栽培することを計画。
(3) 3~5年後には、国・北海道等の行政機関やジャガイモシロシストセンチュウ発生地域と調整 した数量を配布できることを目標。
(4) 将来的には、ジャガイモシロシストセンチュウ密度低減が図られ、ばれいしょほ場の健全化に役立つ。また、噴霧式水耕養液栽培装置を用いた生産技術の向上と「MnT生産マニュアル」により、種ばれいしょが迅速且つ安定的に供給され、消費者にとっては食用ばれいしょの安定供給となる。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
噴霧式水耕養液栽培装置等を用いる種苗生産システムを構築できたことにより、これまでに比べ、迅速且つ安定的に種ばれいしょの生産供給ができるようになる。特に、国産ばれいしょの安定生産供給に貢献できるとともに、消費者が日頃から適正な価格で、ばれいしょ及び関連商品を購入し、消費することができる。
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