難培養性ホモ発酵型乳酸菌を用いた発酵飼料の好気的変敗及びカビ防止技術の開発
- 課題番号
- 26081C
- 研究グループ
- 岡山大学環境生命科学研究科、岡山県農林水産総合センター畜産研究所、広島県立総合技術研究所畜産技術センター、島根県畜産技術センター、雪印種苗(株)
- 研究総括者
- 岡山大学環境生命科学研究科 西野直樹
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 難培養性ホモ発酵型乳酸菌を用いた発酵飼料の好気的変敗及びカビ防止技術の開発(PDF : 1561.5KB)
1 研究の背景・目的・成果
発酵飼料(サイレージ)の好気的変敗とカビ発生は、自給粗飼料の増産と利用拡大における大きな隘路である。これらを防ぐ乳酸菌製剤として、酢酸を抗菌物質とするヘテロ発酵型菌種が用いられてきたが、過剰な酢酸は採食量を低下させるため、その利用は一部の飼料作物に限られてきた。本課題は、新たに見出した難培養性ホモ発酵型乳酸菌(Lactobacillus acetotolerans)を利用して、飼料作物全般に利用できる新規微生物製剤の実用化を目的とした。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 細断型ロールベーラで調製したトウモロコシWCS(ホールクロップ発酵飼料)おいて、L. acetotolerans単独添加が、酢酸含量を増加させることなく、好気的変敗(発熱)を抑制することを実証した。発熱の遅延は1日程度で、添加効果も不安定な点が課題として残る。
(2) 細断型ロールベーラで調製したイネ(たちすずか)WCSにおいて、L. acetotolerans とLactobacillus buchneri(既存のヘテロ発酵型乳酸菌製剤)の混合添加が、好気的変敗及びカビ発生の抑制に有効であることを実証した。
(3) 上記発酵飼料をTMR(牛の給食と呼ばれる混合飼料)として乳牛に給与したところ、採食量、乳量、乳成分、血液性状にマイナスの影響は認めらなかった。
(4) 通常の培地及び培養条件では十分な菌数を得るのに5日間を要していたが、培地成分他を改良して同等の菌数を2日以内に達成した。
(5) 従来の発酵品質測定に加え、微生物叢解析を行ってL. acetotoleransの添加効果を実証した。 L. acetotoleransはBacillus属細菌の生育を抑制したが、Acetobacter属細菌やPichia属真菌の生育を抑えなかった。
(6) 従来型ロールベーラで調製したイネ科牧草(イタリアンライグラス)発酵飼料、イネ(ホシアオバ、夢あおば) WCS及びイネソフトグレイン発酵飼料では、L. acetotoleransの添加効果が認められなかった。L. acetotoleransと既存のホモ発酵型乳酸菌及びヘテロ発酵型乳酸菌の組み合わせも不十分であった。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 好気的変敗及びカビ発生の抑制はいずれも添加効果が安定していない。たちすずか以外のイネWCSでは、L. acetotoleransとL. buchneriの組み合わせも添加効果が明確でない。これらを解決するため、L. acetotoleransの高機能株を選抜中。
(2) 貯蔵中の嫌気性確保が良好なバッグサイロでは、 L. acetotoleransによるカビ発生の防止効果が明らか。
サイロ形式との組み合わせを含めて技術改良を継続中。
【普及目標】
(1) 2017年は、より強くより広い抗菌スペクトルを示す高機能株で再検証。
(2) 2018年は、凍結乾燥製剤で添加効果を実証。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
飼料の高品質化あるいは低品質化の抑制は、健康な家畜の飼養管理すなわち畜産物の高品質化のための基盤である。発酵飼料の高品質調製技術により、飼料自給率を着実に高められれば、国民の消費ニーズにより近い形で安全・安心な畜産物を提供することができる。
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