高品質ゴマ「まるひめ」とナタネ「ななはるか」の輪作体系によるプレミアムオイル生産
- 課題番号
- 26078C
- 研究グループ
- 農研機構次世代作物開発研究センター・東北農業研究センター・九州沖縄農業研究センター、
帝塚山大学、金峰ごま生産組合、
クリーンベースちらん(株)、村山製油(株) - 研究総括者
- 農研機構次世代作物開発研究センター 大潟 直樹
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 高品質ゴマ「まるひめ」とナタネ「ななはるか」の輪作体系によるプレミアムオイル生産(PDF : 1512.2KB)
1 研究の背景・目的・成果
ゴマ(Sesamum indicum L.)品種「まるひめ」は早生でリグナン含量が高く、ナタネ(Brassica napus L.)品種「ななはるか」は早生でエルシン酸を含まないため、高品質な国産圧搾油の原料として期待されている。九州はゴマやナタネの生産が盛んであるとともに、地場の搾油メーカーも多い。そこで両品種を九州地域の6次産業化に活用するために、ゴマとナタネの原料生産性を高める一年二作の作付体系を確立するとともに、両品種の成分特性や圧搾油の特性、また利用方法を明らかにし栽培・加工マニュアルを作成する。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 「まるひめ」栽培後に「ななはるか」を作付けしても、「ななはるか」栽培後に「まるひめ」を作付けしても、それぞれの後作には病害発生や低収などの影響は無く、一年二作により搾油原料の生産性は高い。
(2) 「まるひめ」は遅くとも9月中旬には収穫でき、後作「ななはるか」の播種適期10月中旬まで時間的余裕があるため、「まるひめ」の後に「ななはるか」を栽培する一年二作の体系が推奨できる。
(3) 「まるひめ」のセサミン含量は、6月播種の方が7月播種より多く、成熟に伴い減少する。「まるひめ」の脂肪酸は、6月播種ではオレイン酸とリノール酸はほぼ等しいが、7月播種ではオレイン酸が低い。
(4) 「ななはるか」は成熟期以降、種子中の含油率や脂肪酸組成が変化しないが、成熟期直後は、種子中のクロロフィル含量が高く圧搾油は緑色を帯び品質が低い。
(5) 「まるひめ」と「ななはるか」の圧搾油の総ORAC値は市販の油よりやや高く、抗酸化能が高い。
(6) 「まるひめ」の圧搾油は香味が高く、淡い味の食材を引き立てるドレッシングに適し、「ななはるか」の圧搾油は鮮やかな黄色を活かした揚げ物利用に適している。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) 大潟直樹・加藤晶子.ゴマ品種 「まるひめ」 の種子成分に及ぼす播種期および収穫期の影響.日作紀
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 九州地域の生産者や全国の実需者及び消費者を対象とし、栽培法、成分特性、最適な利用方法までを解説したマニュアルを作成した。
(2) 一年二作の作付け体系は鹿児島県等において10ha以上の作付が見込まれるとともに、圧搾油および圧搾油を用いた加工食品の商品化が検討されている。
【普及目標】
(1) 2017年は、鹿児島県において一年二作体系3haを計画。
(2) 2018年は、一年二作体系5haを計画。6次産業化を推進する。
(3) 3~5年後には、10ha以上、複数県を目標。
(4) 将来的には、機械栽培体系の確立や耐病性品種を育成。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
ゴマ油およびナタネ油は和食文化に不可欠であるとともに栄養的にも優れた食品・食材であることから、国民の健康で豊かな暮らしの実現に貢献できる。単に「国産」という価値だけではなく、各料理に適した油を推薦することができるようになった。これは、和食の欠点である油脂とタンパク質の量が少ないという状況の改善に繋がる。高齢者はタンパク質と脂質をきちんと摂取している人はQOLが高いというデータがあり、テーブルオイルとして国産油を利用することは、高齢化社会にむけてQOLを高めることにもつながる。
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