開放型畜舎と堆肥舎を対象としたネット利用による脱臭技術
- 課題番号
- 26077C
- 研究グループ
- 群馬県畜産試験場、群馬県繊維工業試験場、
群馬県農政部技術支援課、木戸株式会社 - 研究総括者
- 群馬県畜産試験場 瀬山 祥平
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 開放型畜舎と堆肥舎を対象としたネット利用による脱臭技術(PDF : 1927.7KB)
1 研究の背景・目的・成果
畜産経営に起因する苦情の過半数は悪臭に関連するものである。近年、環境問題への関心の高まりや畜産経営と住宅地との混住化等により、悪臭は経営規模の縮小や廃業にもつながる重要な問題となっている。一方で、現状、畜産経営の大部分を占める開放型施設では臭気の拡散を防止する有効な技術がなく、また、臭気対策は利益に直結しないため、農家にとって高額な投資をしにくい分野でもある。
そこで、本研究では既存の開放型施設に簡易かつ低コストに導入可能な臭気対策技術として、ネットを用いた脱臭技術の開発を目指した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 室内実験(10mmマス目、30cm四方のポリエステルネットを使用)で、クエン酸水溶液で湿潤したネットで、20ppmのアンモニアを90%除去できることを確認した。また、風洞実験(5mmマス目、幅2m×高さ1.5mのネットを使用)では、20ppmのアンモニアを約40%除去できることを確認した。
(2) 畜産施設の開口部に展張したネットをクエン酸水溶液で均一に湿潤させる技術として、親水化加工を施した専用ネット、及びネットに均一に散水するための散水装置を開発した。
(3) 上記装置を用いて、試験用堆肥舎(間口4.5m ×奥行6m×高さ4m)で、牛ふんの切り返し時に発生するアンモニアを除去できることを確認した(施設内アンモニア濃度25ppmに対してネット外側で4ppmに低下)。
(4) 上記装置を用いて、酪農家成牛舎と、繁殖和牛農家堆肥舎でアンモニア除去効果を確認した。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) 特願 2015-149562「ネット式脱臭装置」 (出願人:群馬県、木戸株式会社)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 酪農家成牛舎で現地検討会を開催し、市や県の担当者、農協職員に試験状況や実証結果を報告し、普及性を検討した。
(2) 開発技術の概要をまとめた普及指導員向け資料を作成した。
【普及目標】
(1) 2017年は、普及や行政と連携して、県内畜産農家2戸での実証と、普及性の評価を並行して行う。
(2) 2018年は、技術概要や脱臭効果、導入方法等をまとめた農家向け資料(リーフレット)を作成する。
(3) 3~5年後には、開発技術を商品化し、県内畜産農家への普及推進を図る。
(4) 将来的には、全国の畜産農家への普及推進を図る。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 畜産臭気の緩和や、ネットによる目に見える対策により畜産経営のイメージアップにつながり、周辺住民の生活環境と調和した畜産経営が確立される。
(2) 畜産経営における臭気対策の負担が軽減され、畜産経営の安定や発展への貢献が期待される。
(3) 専用ネットの材料であるポリエステルネットの需要増加により、繊維産業への経済的波及効果も期待される。
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