新たな販売形態「粒ブドウ」出荷を実現する省力生産及び流通・貯蔵技術の確立
- 課題番号
- 26076C
- 研究グループ
- 三重県農業研究所、石川県農林総合研究センター、
長野県果樹試験場、農研機構果樹茶業研究部門、
株式会社ファーマインド、三重県中央農業改良普及センター、
ながの農業協同組合、三菱化学フーズ株式会社 - 研究総括者
- 三重県農業研究所 近藤 宏哉
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 新たな販売形態「粒ブドウ」出荷を実現する省力生産及び流通・貯蔵技術の確立(PDF : 1409.8KB)
1 研究の背景・目的・成果
生食用ブドウを購入する消費者の志向は近年大きく変化し、皮ごと食べられる種なしブドウへの需要が高まっている。一方ブドウ生産者は種なし栽培の割合が増えるにつれ、果房管理作業の集中が課題となっている。さらに、果物消費を増やすには提供側に「簡単に食べられる」、「バラ売りや少数個入りでの販売」の工夫が求められている。そこで本研究ではブドウの販売形態を「房」から「粒ブドウ販売」に換えることで、生産者には果房管理の省力化技術を確立し、消費者の新規需要を喚起し、消費拡大につなげる付加価値をつけた商品を開発した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 「ナガノパープル」、「シャインマスカット」で摘らい器具(商品名:テキライグシ)を利用して摘らい作業と支柄単位での摘粒作業を組み合わせると、粒ブドウ販売を目的とした省力的な果房が生産でき、果房管理時間は慣行栽培の60%程度になることを実証した。
(2) 「シャインマスカット」は適切な殺菌処理を行い、房ごとのMA包装により6ヶ月間は粒販売に可能な状態で房貯蔵ができることを実証した。また、シャインマスカット貯蔵試験中に発生する腐敗の種類を明らかにし、その原因とも考えられる菌を同定した。
(3) 「ルビーロマン」をパックに詰めた後、アリルカラシ油を用いた鮮度保持資材(ワサオーロ)を利用することで、5℃の貯蔵温度で28日間食味を保ったままカビの発生を抑制できることを実証した。
(4) 皮ごと食べられる品種をオゾン水で洗浄殺菌し一般生菌の増殖を抑えることで、パックからそのまま手軽に食べることができる粒ブドウを商品化した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) ナガノパープル、シャインマスカットのテキライグシを利用した省力果房管理の実証圃を設置した。
(2) 粒ブドウ出荷のための省力生産・貯蔵・加工技術を含めたマニュアルを作成した。
(3) パックから手軽に食べることができる「洗わず皮ごと食べられるカット粒ぶどう」 を商品化した。
【普及目標】
(1) 2017年は、粒ブドウパック販売 1,000パックを計画。
(2) 3~5年後には粒ブドウの原料供給の契約栽培面積20ha以上を目標。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
粒ブドウの加工販売ではパックの量目調整、品種の組み合わせが容易になるため、消費者に対して値頃感のある商品を提供できる。色とりどりの高級なブドウは家庭の食卓に彩りを添えることができるので、ゆとりのある豊かな国民生活の実現につながる。
また、本研究の長期貯蔵技術を利用することにより、生食国産ブドウの端境期に国産の粒ブドウパックを提供することができ、国産果物の消費拡大に寄与できる。
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