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農林水産技術会議

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菌類を活用したスギ花粉飛散防止液の高度化と実用的な施用技術の開発

年度
2017
ステージ
実用技術
分野
林業・林産(微生物資材)
適応地域
全国
キーワード
スギ、花粉症、菌類活用、飛散防止液、施用法
課題番号
26075C
研究グループ
森林総合研究所、静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター、富山県農林水産総合技術センター森林研究所、株式会社ADEKA、茨城スカイテック株式会社
研究総括者
森林総合研究所 窪野 高徳
研究タイプ
現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間
平成26年~28年(3年間)
PDF版
菌類を活用したスギ花粉飛散防止液の高度化と実用的な施用技術の開発(PDF : 1334.9KB)

1 研究の背景・目的・成果

現在、我が国では、スギ花粉発生源対策として少花粉スギ等を植栽して、花粉の少ない森林への転換を図っており、効果を上げているが、これを完遂するには長い年月が必要である。このような中、私たちはスギの雄花だけを枯らす菌類を用いて、短期間で80%以上の雄花を枯死させる胞子懸濁液を開発した。本課題の目的は、胞子懸濁液に改良を加え、実際に散布可能な防止液として製剤化するとともに、実用的かつ効率的な施用法として、人力による地上散布法 及び無人ヘリコプターによる空中散布法を開発することである。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 胞子懸濁液を凍結乾燥することで粉末化に成功し、常温で保存することが可能になった。また、粉末胞子は約3ヶ月間、発芽を維持したことから、粉末で製品化する道が拓けた。

(2) 雄花序数10~100本/枝に対してスギ花粉飛散防止液 50cc を1回だけ散布することで、80%以上の雄花を枯死させることに成功し、人力による地上散布法として最適な散布量を突き止めた。

(3) 無人ヘリコプターの空中散布法の開発研究において、散布ノズルを改良するとともに、飛行法を確定することで、枝単位ではあるが、高率(80%以上)で雄花を枯死させることに成功し、無人ヘリコプターによ
る空中散布が可能であることを実証した。

【公表した主な特許・品種・論文】

(1) 斎藤真己.スギ雄花寄生菌(Sydowia japonica)を活用したスギ花粉飛散量の抑制効果.日本花粉学会誌.61, 57-62(2016)

(2) 高橋由紀子.自然環境下におけるスギ黒点病菌Sydowia japonica の感染状況.樹木医学研究.21(1)1-7(2017)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 本課題の研究成果を「スギ花粉症対策に向けた新技術-菌類を活用して花粉の飛散を抑える-」と題してパンフレットを発行した。 (国立研究開発法人森林総合研究所に公開中https://www.ffpri.affrc.go.jp/

(2) 本課題の研究成果を共同研究機関である静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-850/)及び富山県農林水産総合技術センター森林研究所
http://www.fes.pref.toyama.jp/)のHPに公開し、広く普及を図った。

【普及目標】

(1) 2017年は、研究成果パンフレットを1000部発行し、林野庁、森林管理局及び公設林業試験場へ配布する。

(2) 2018年は、研究を継続し、最新の研究成果を学会等で発表し、研究成果を広く公表する。

(3) 3~5年後には、スギ林への防止液の散布実現に向けた農薬登録に必要なデータの取得に努める。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

本研究によって菌類を用いたスギ花粉飛散防止液が完成し、また、人力による地上散布法や無人ヘリコプターによる空中散布法が開発され、菌類の胞子をスギ林に散布することで、人為的にスギ花粉の飛散を抑止できる可能性が示された。今後、本防止液が農薬登録され、実際に本施用法がスギ花粉症対策に取組んでいる機関に普及すれば、スギ林からの花粉の飛散が抑制され、スギ花粉症患者の減少に貢献する。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

森林総合研究所

窪野高徳
TEL029-829-8377

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お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室

担当者:産学連携振興班
ダイヤルイン:03-3502-5530
FAX番号:03-3593-2209

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