安全・安心なかぼちゃ生産に向けた土壌残留ヘプタクロル類診断技術の開発
- 課題番号
- 26074C
- 研究グループ
- 北海道立総合研究機構中央農業試験場、農研機構農業環境変動研究センター、合同会社カーバンクル・バイオサイエンテック、ホクレン農業総合研究所、十勝農協連農産化学研究所、北海道農政部生産振興局技術普及課
- 研究総括者
- 北海道立総合研究機構中央農業試験場 竹内 晴信
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 安全・安心なかぼちゃ生産に向けた土壌残留ヘプタクロル類診断技術の開発(PDF : 1395.4KB)
1 研究の背景・目的・成果
ヘプタクロルは1972年に農薬登録が失効し、現在は使用されていないが、今なお土壌に残留している同成分はかぼちゃ等のウリ科植物に特異的に吸収され、残留基準値(0.03ppm)を超えて検出されることがある。このため、生産現場で利用可能なかぼちゃ作付け前のヘプタクロル類の土壌診断技術の開発を目指した。
その結果、かぼちゃ果実が残留基準値を超過しない最大の土壌ヘプタクロル類濃度と作付け前診断に必要とされる土壌採取法を明らかにし、これを基にした土壌診断手法を示した。併せて、ELISA法による分析法を実用化した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) かぼちゃ果実が残留基準値を超過しない最大の株元土壌ヘプタクロル類濃度は、0.005(mg/kg-DW)であり、土壌型や品種に関わらずこの値を個別試料の診断におけるしきい値とした。
(2) ほ場の診断のためには、少なくとも格子状に25点/haの土壌試料採取を行う必要がある。
(3) 濃度分布ムラの大きいほ場において、ほ場のヘプタクロル類濃度の平均値(25点/haの試料を混合した分析値)が0.003(mg/kg-DW)以上では作付けを避けるべきである。
(4) コストの嵩む機器分析を代替できる、ELISA法を用いた分析法を開発し診断キットを実用化した。
(5) これらの結果を基に、土壌診断の流れを取りまとめ提示し、現場ほ場で検証を行った。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) Kataoka, C. et al. Development of a Model Immunoassay Utilizing Monoclonal Antibodies of Different Specificities for Quantitative Determination of Dieldrin and Heptachlors in Their Mixtures.
J. Agr. and Food Chem., 64(46), 8950-8957 (2016).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 本成果はH28年度北海道農業試験会議(成績会議)において指導参考事項として採択され、技術普及に移された。
(2) 本成果は地域(生産者団体等)としてヘプタクロル類の土壌診断に取り組む際に利用できる。既に土壌診断を実施している場合は、分析結果の評価や診断手法を改善するための参考となる。
(3) 本成果を利活用する際の手順等を整理し「ガイドライン」として北海道立総合研究機構のHPで公表する予定である。(http://www.hro.or.jp/list/agricultural/index.html.)
(4) ELISA法によるヘプタクロル類定量キットの受注生産販売を開始する。
【普及目標】
(1) 2017年は、本成果を活用した診断件数10件
(2) 2018年は、本成果を活用した診断件数30件
(3) 3~5年後には、本成果を活用した診断件数100件
(4) 将来的に、北海道におけるかぼちゃの生産量10万t維持(H26年水準の10%増)を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
ほ場の作付け前診断により、残留基準値を超過するかぼちゃの生産を未然に防げる。さらに、ELISA診断キットを用いることで低コスト診断が可能となる。これらから、地域や生産者の潜在的なかぼちゃ生産意欲を刺激し、漸減傾向にあったかぼちゃ生産量の回復が期待され、地域経済への貢献や国産農産物の生産量の増加に寄与する。
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