加工用ホウレンソウの多収抑草技術の開発による機械収穫生産体系の確立
- 課題番号
- 26071C
- 研究グループ
- 農研機構九州沖縄農業研究センター、宮崎県総合農業試験場畑作園芸支場、熊本県農業研究センター球磨農業研究所、株式会社ニシザワ、株式会社クマレイ
- 研究総括者
- 農研機構 九州沖縄農業研究センター 石井 孝典
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 加工用ホウレンソウの多収抑草技術の開発による機械収穫生産体系の確立(PDF : 1545.5KB)
1 研究の背景・目的・成果
中小規模の加工用ホウレンソウ生産では人力による収穫作業が行われ、労働力不足、労働費上昇が問題となっている。解決のためには収穫作業の機械化が課題となっている。本研究では中小規模生産に対応した機械収穫体系を確立することで、収穫機械導入を促進し、加工用ホウレンソウ生産の省力・低コスト化を図る。
さらに、機械収穫に伴う異物混入リスクの低減に向けた生産者と加工実需者が一体となった対策技術や収穫機械を有効に利用できるように生産・出荷量の平準化を図る安定生産技術の開発を行う。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 主要品種について生育と積算気温の関係を明らかにした。これにより、平年気温を利用した出荷量の平準化を図る播種計画の策定ができ、生育状況により修正することで収穫作業計画や加工場の操業計画にも利用することができる。
(2) 多回刈り再生栽培技術により12月収穫の作型において、機械収穫後の刈り株から2月には再収穫ができる。 2番草の収量は12月収穫の1番草に対し50%以上であった。
(3) 圃場での雑草混入防止対策は密植栽培と機械除草と併用し、高刈りすることが有効であった。以上により機械収穫物へ混入する雑草量は20分の1に減少した。
(4) 中小規模の生産に対応し、歩行型収穫機が連続使用できる2種類の機械収穫体系を開発した。一つ目はプラスチックコンテナ(40L)を利用した収穫を行う小型コンテナ体系、二つ目はベルトコンベアユニットを利用し、メッシュコンテナ(880L)に収穫を行う大型コンテナ体系である。人力収穫作業体系と比べ、10a当たり収穫作業時間が小型コンテナ体系では5分の1、大型コンテナ体系では10分の1になる。
(5) 異物混入の増大が懸念される機械収穫物に対して、大型の雑草等の異物をネットコンベヤー上での目視、小型の異物については回転ブラシ式除去装置による除去を行う機械収穫物受入工程を開発した。
主に回転ブラシ式除去装置の効果により加工場内に持ち込まれる小型異物数が半減した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 歩行型収穫機の連続収穫を可能にする2方式のアタッチメントがすでに市販されている。
(2) 収穫期予測手法については主要産地にて試行的に播種計画の策定に活用されている。
【普及目標】
(1) 2017年は、技術講習会、機械収穫体系マニュアル公開などにより機械収穫体系を推進する。
(2) 2018年は、機械収穫体系の生産者での導入を目指す。
(3) 3~5年後には、15haの機械収穫体系普及を目指す
(4) 将来的には、中小規模生産者も機械収穫体系への移行し、生産拡大・低コスト化が実現
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
収穫機導入が困難であった中小規模生産者に小型収穫機を中核とした体系技術を提供することで、中小生産者主体となる産地でも省力低コスト化により維持拡大を図ることができる。結果、国民・消費者が求める安全・安心な冷凍加工用ホウレンソウの持続的な安定供給に貢献できる。
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