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農林水産技術会議

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卵受精保持能,子宮・卵管内精子運動調節機構に着眼した効率的ブタ人工授精法の開発

年度
2017
ステージ
発展
分野
畜産(繁殖)
適応地域
全国
キーワード
豚、繁殖、人工授精、母豚管理、精子保存
課題番号
26066B
研究グループ
広島大学、
大分県農林水産研究指導センター
研究総括者
広島大学 島田昌之
研究タイプ
産学機関結集型 Bタイプ
研究期間
平成26年~28年(3年間)
PDF版
卵受精保持能,子宮・卵管内精子運動調節機構に着眼した効率的ブタ人工授精法の開発(PDF : 1194.5KB)

1 研究の背景・目的・成果

種雄豚の有効活用と繁殖成績の向上が期待できる人工授精技術は、生産頭数の7割程度にまで普及してきたが、精液の採取・希釈・保存は煩雑であり、1発情あたり3回以上の人工授精を必要とするなど、技術革新が必要である。本研究では、人工授精適期に影響する因子を解明し、種付け適期を固定化する繁殖管理法を開発する。さらに、子宮内で精子正常性が担保される希釈液を開発し、注入精子数を削減する。これらにより、人工授精にかかる労働時間短縮と種雄豚飼育数の削減を可能として、経済形質の高い種雄豚を用いた高付加価値豚生産技術を確立する。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 全国11農場において、発情発見後12時間毎に異なる雄の精液を用いた人工授精を3回実施し、DigiTag2法を用いたDNA親子判定試験により、人工授精適期は光環境により影響されることを明らかにした。

(2) LED照明に含まれる450nm以下の波長が、母豚のメラトニン、LH、FSH、性ステロイドホルモン分泌を制御していることを解明し、閉鎖型豚舎においてLEDによる光線管理により種付け適期を周年2回に固定化する繁殖管理法を確立した。

(3) LED照明による周年固定化された2回の人工授精により、既存技術(蛍光灯照明下で母豚を飼育し、3回の人工授精)に比較して、産子数が3.8%増加する結果が得られた。

(4) 子宮内腔粘液のメタボローム解析から、子宮内環境で精子が長時間正常性を担保するメカニズムを解明し、注入精子数を10億に削減しても既存技術(精子数30~50億)と同等の繁殖成績が得られた。

(5) 種雄豚の遺伝資源保存技術の向上のため、新たなブタ精子凍結方法を開発し、それを用いた人工授精により受胎率100%、平均産子数10.7頭という結果が得られた。

【公表した主な特許・品種・論文】

(1) 特願 2017-008241 ブタ精子凍結希釈液用添加剤及びブタ精子の凍結保存方法(出願人:国立大学法人広島大学,大分県)

3 開発した成果の展開方向

(1) 人工授精回数と注入精子数の削減は、精液採取や希釈および人工授精にかかる労働時間を短縮できることから、養豚生産の大規模効率化に不可欠な基盤技術となる。

(2) 必要精子数の削減は、候補種雄豚から成績上位のみを選抜できる。さらに、その選抜種雄豚の精子を新規凍結保存法で遺伝資源として保存することで、高付加価値生産の基盤技術となる。

【開発目標】

(1) 閉鎖型豚舎におけるLED光線管理の母豚管理法は、実用化試験が終了していることから、2017年度末までに、全国10会場以上で実施される生産者対象の勉強会で、その研究成果を紹介する。

(2) 2017年度は、新規精液希釈液について、2農場(母豚総数 5,000頭)において実用化試験を実施する。

(3) 2018年度は、新規精液希釈液をライセンスアウトして、全国の生産者への供給体制を確立する。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

本研究で開発した繁殖管理法や精液希釈液は、動物薬剤やホルモン剤を用いることなく、コスト削減と高付加価値化生産を可能とすることで、日本の養豚業の国際競争力を高めることに貢献する。これにより、生産者は、安全・安心・高品質な国産豚肉を適正価格で継続的に消費者に提供できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

広島大学

島田昌之
TEL082-424-7899

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お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室

担当者:産学連携振興班
ダイヤルイン:03-3502-5530
FAX番号:03-3593-2209

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