施用効果の安定性に優れ、低コスト省力型栽培を可能にする新規微生物資材の開発
- 課題番号
- 26065B
- 研究グループ
- 農研機構(北農研、西日本農研)、長崎県農林技術開発センター、鹿児島県農業開発総合センター、帯広畜産大学、片倉コープアグリ株式会社
- 研究総括者
- 農研機構北海道農業研究センター 岡崎 和之
- 研究タイプ
- 産学機関結集型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 施用効果の安定性に優れ、低コスト省力型栽培を可能にする新規微生物資材の開発(PDF : 1361.7KB)
1 研究の背景・目的・成果
食の安心・安全性の確保や環境問題等への対応、持続可能な農作物の栽培技術が求められる中で、微生物資材は減肥料、減農薬を可能にする技術として期待されている。しかしながら、従来の微生物資材の多くは施用効果が不安定であることが問題となっていた。本課題では植物と親和性が高い共生微生物に着目し、それら有用共生微生物を施用することで、低コスト省力型栽培を可能にする新規微生物資材を開発する。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 共生細菌相の解析結果をもとに選抜したジャガイモ有用細菌を種イモに接種することで、安定した増収効果が認められた。長崎県では平均16%(3作の平均、平成27年春作~平成28年春作)、鹿児島県では9%の増収効果がみられた(平成28年春作)。
(2) ジャガイモ有用細菌の資材化適性を明らかにし、種イモ定植時の施用を想定した粒状タイプのプロトタイプ資材を開発した。
(3) 有用細菌の植物組織局在性に着目し、局在性が異なる有用細菌を混合接種することで、接種効果が相加的に向上することを明らかにした。また、GUS遺伝子を導入した菌株を用いた発色解析から、栽培することなく接種効果の有無を発色度で判定できる可能性を明らかにした(GUS:β-glucuronidase)。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) Santiago C.D. et al. Bacterial compatibility in combined inoculation enhances the growth of potato seedlings. Microbes Environ. (2017) in press.
3 開発した成果の展開方向
(1) ジャガイモの有用細菌を活用し、暖地ジャガイモ栽培を対象にした微生物資材を作製する。開発した資材を種イモ定植時に施用することで、安定した増収効果が期待できる。
(2) トマト等の野菜類への施用効果を評価し、ジャガイモ以外の作物への適用範囲拡大を行う。
【開発目標】
(1) 資材の効果的な施用方法を確立し、資材価格を20,000円/10aに削減(~2019年)。
(2) トマト等の野菜類への適用拡大や病害抑制効果の確認(~2019年)。
(3) 3~5年後には、暖地ジャガイモ栽培向けの資材として上市。
(4) 将来的には、トマト等の野菜類向けの資材として用途拡大。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
暖地ジャガイモ栽培の出荷時期は北海道産の端境期にあたる。本研究により開発した微生物資材の実用化により暖地ジャガイモ栽培の生産性が向上することで、ジャガイモの周年供給量の安定化につながり、生産者にとっては農業収益の向上と安定化、消費者にとってはジャガイモ価格の抑制と安定化が期待できる。
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