牛難治性疾病に対する多機能型バイオ医薬(抗体医薬)の創出と発展的応用
- 課題番号
- 26058B
- 研究グループ
- 北海道大学大学院獣医学研究科、北海道立総合研究機構農業研究本部畜産試験場、日本全薬工業株式会社
- 研究総括者
- 北海道大学大学院獣医学研究科 今内 覚
- 研究タイプ
- 産学機関結集型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 牛難治性疾病に対する多機能型バイオ医薬(抗体医薬)の創出と発展的応用(PDF : 2667.2KB)
1 研究の背景・目的・成果
家畜伝染病においてワクチンが樹立されている疾患は極わずかである。牛難治性疾患に対するワクチン開発において、接種動物で期待された効果が認められない事象は非常に多く、新たな戦略が求められていた。
本研究開発により、免疫チェックポイントに係る種々の免疫抑制因子が免疫細胞を疲弊化させ、病態が進行することを明らかにした。一方、この免疫の疲弊化は可逆的であり、その免疫抑制機序を遮断することで抗病原体機能が回復することを明らかにし、免疫を再活性化(免疫賦活)するバイオ医薬品の開発に成功した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 従来わかっていなかった牛難治性疾病の免疫回避機序(ワクチン効果が得られない理由等)を解明した。
(2) 免疫回避の原因因子を抗体等により機能を阻害することで、病原体への免疫応答が回復することを明らかにした。
(3) 抗病原体効果を示す抗体をバイオ医薬品として改変し、生体内での抗病原体効果を確認した。
(4) 動物用バイオ医薬品の生産技術法を新規に開発した。
【公表した主な特許・品種・論文】
(1) 特願2016-159089 「ウシ用抗PD-L1抗体」 (出願人:今内 覚ほか:国立大学法人北海道大学)
(2) 特願2016-159090 「抗PD-1抗体」 (出願人:今内 覚ほか:国立大学法人北海道大学)
(3) 特願2016-159091 「抗LAG-3抗体」 (出願人:今内 覚ほか:国立大学法人北海道大学)
3 開発した成果の展開方向
(1) 家畜を対象としたバイオ医薬(抗体医薬など)の臨床応用例はなく、一連の成果は、今後の家畜対象医薬品開発の先駆的技術となる。
(2) 開発したバイオ医薬(抗体医薬など)は、ワクチンの有無にかかわらず効果を発揮するため、使用後に出荷制限がある抗生剤やステロイド製剤などの使用量の低減や代替医薬品として応用できる可能性がある。
【開発目標】
(1) 2017年度以降は、より安価なバイオ医薬品の生産を実現するために大量生成法の開発を計画。
(2) 2017年度以降は、種々の牛難治性疾病へ横断的応用可能、より効果的なバイオ医薬品の改良を計画。
(3) 3~5年後には、開発薬の薬事申請・承認を目標。
(4) 将来的には、新規家畜疾病予防・治療薬として上市する。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
バイオ医薬品の臨床応用により、牛の疾病が減少した結果、長寿命化により優良種(乳量が多い牛や肉質が優秀な牛)の保存や生産効率の向上が期待される。ひいては、健康牛由来の安全な畜産物(牛乳・牛肉など)の安定供給に貢献できる。
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北海道大学大学院獣医学研究科
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