ポリアミンを増強した納豆の開発とポリアミン高含量納豆の機能性の研究
- 課題番号
- 26055A
- 研究グループ
- 自治医科大学医学部、茨城県工業技術センター、
栃木県産業技術センター、新潟県農業総合研究所 - 研究総括者
- 自治医科大学 早田 邦康
- 研究タイプ
- 一般型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- ポリアミンを増強した納豆の開発とポリアミン高含量納豆の機能性の研究(PDF : 1111.1KB)
1 研究の背景・目的・成果
豆・野菜・魚介類を多く摂る日本食や地中海食などは健康長寿の食習慣として知られている。しかし、その有効成分は多くの研究があるにもかかわらず不明である。本研究では、健康長寿食物の一つの豆類に多く含まれるポリアミンがマウスの寿命を延長することに注目して、高ポリアミン食の一つである納豆を取り上げ、そのポリアミン濃度を上昇させるための技術開発をするとともに、納豆のヒト介入試験による生体内でのポリアミンの生理活性とポリアミンのアンチエイジング効果を研究した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 大豆の発酵食品である納豆のポリアミン濃度を上昇させる技術開発を行った。納豆中のポリアミン濃度は原料大豆中のポリアミン濃度に最も強く影響されることがわかった。また、ポリアミン濃度の高い品種の大豆を用いて作成した納豆ほど品質評価が高く、特に味が好評であった。
(2) 上記(1)で作成した納豆をヒトが継続摂取した時のポリアミンの生理活性を検討した。継続摂取の8か月後に、個々のボランティアで血中ポリアミン濃度が上昇し、生理活性の代表的指標である白血球表面のLFA-1タンパクが減少した。これらの生理活性研究はさらに継続中である。
(3) ポリアミンによるアンチエイジングの作用機序を解析した。ポリアミンは抗炎症作用だけではなく、生活習慣病や老化に係る代謝である、遺伝子の異常メチル化を直接的に制御する作用を有してることの詳細な作用機序を明らかにすることができた。また、以前にポリアミンが大腸癌の発症を抑制することを動物実験で明らかにしていたのに加えて、本研究で、乳癌の発症を抑制する可能性を示唆する結果を得た。
3 開発した成果の展開方向
(1) 高ポリアミンであるゆえに高機能性で高品質の納豆の製造法を納豆組合会員企業に紹介し、加えて高ポリアミン納豆を摂取した介入試験結果を公表する。
(2) 基礎研究と動物実験で、ポリアミンが異常メチル化を抑制する遺伝子のプロモーター領域を拾い上げ、ポリアミンによる乳癌発症抑制と延命効果を明確にすることによって、アンチエイジングの作用機序の基礎的情報を確立する。
(3) 高ポリアミン含有大豆を使用した納豆は、特に味の評価が高い。そこで、さらにポリアミン濃度の高い大豆品種の育種に取り組む。
【開発目標】
(1) ポリアミン濃度を指標として、2017年は大豆の品種改良に向けた組織づくりを開始し、5~6年後には、世界中の食卓に供されるような高品位大豆の育種と栽培法を確立する。
(2) ポリアミンのアンチエイジング効果を遺伝子レベルで明らかにする。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
生活習慣病の発症や老化の進行を防ぐことができて国民が健康長寿になる。
高ポリアミン大豆は品質と味覚面で良質なので、新規開発の高品質大豆が輸出できる。これによって、国内の農業生産が向上する。

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自治医科大学附属さいたま医療センター
循環器病臨床医学研究所
早田邦康
TEL 048-647-2111
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