大規模崩壊発生時の緊急調査技術の開発
- 課題番号
- 27042C
- 研究グループ
- 国立研究開発法人森林総合研究所
- 研究総括者
- 国立研究開発法人森林総合研究所 岡田 康彦
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成27年~27年(1年間)
- PDF版
- 大規模崩壊発生時の緊急調査技術の開発(PDF : 983.6KB)
1 研究の背景・目的・目標
近年、地震や豪雨により全国各地の山地で大規模崩壊が発生し、上流部に多量の不安定土砂が堆積して、下流域での災害リスクや環境問題が長期化する例が見られる。このため、災害発生箇所における迅速かつ的確な調査・監視技術が求められている。本研究では、国や地域防災を担当する森林部門の行政担当者が、最新技術を用いて低コストで効率的に大規模崩壊を調査・監視することを可能とする技術の開発ならびにこれらの技術使用に関する調査マニュアルの作成を目標とする。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 大規模崩壊を対象に、有人航空機から撮影された画像を用いたSfM解析の結果と、航空LiDARデータの解析結果の比較から、崩壊土量および浸食量を定量化する手法を開発した。
(2) 複数時期のALOS PALSARデータの干渉SAR解析と航空写真のSfM解析を融合することにより、崩壊前から崩壊後に至る斜面の変状水位を定量化する手法を開発した。
(3) 崩壊現場での物理探査、土試料を対象にした土質せん断試験、離散体モデルを使用した数値シミュレーションにより、崩壊発生メカニズムを解明し、土砂流出リスクを評価する技術を開発した。
(4) 森林部門の行政担当者を対象に、UAVを用いた測量実習を行い技術普及に努めたほか、大規模崩壊発生時の緊急調査法に関してマニュアルとしてまとめた。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 森林管理署の職員を対象に小型無人航空機(UAV)を用いた崩壊地の測量技術に関して、現地技術講習を実施した。
(2) 小型無人航空機等の最新技術を用いた崩壊地調査のマニュアル(案)を作成した。
(3) 干渉SARの解析技術を用いた変動斜面の抽出技術については、現地検証データを蓄積して判読技術の精度を高めるとともに、担当行政機関の職員が自ら作業を実施する際に必要となる判読技術を解説する教材を今後作成の予定である。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 国有林や民有林で発生する大規模崩壊の正確な情報を早期に効率的に取得することが可能になる。
(2) とくに、1回あたりの崩壊地調査にかかる費用が大幅に縮減され、従来よりも高頻度に現地モニタリング調査を実施することが可能となり、土砂流出や二次的な災害リスクの予測精度を大幅に向上できる。
(3) 関係自治体から住民に対して災害リスクに関する情報を迅速に提供することができれば、現地の状況変化に即応した避難計画や防災対策が可能となり、地域社会の安全・安心に大きく貢献できる。

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