ガスプラズマを用いた農産物の殺菌・消毒法の開発
- 課題番号
- 26015A
- 研究グループ
- 琉球大学医学部、 佐世保高専、佐賀大学、
大阪府立環境農林水産総合研究所 - 研究総括者
- 琉球大学医学部 作道 章一
- 研究タイプ
- 技術シーズ【若手】
- 研究期間
- 平成23年~27年(5年間)
- PDF版
- ガスプラズマを用いた農産物の殺菌・消毒法の開発(PDF : 908.8KB)
1 研究の背景・目的・目標
農産物の長距離輸送や貯蔵の際、カビや細菌の繁殖が問題となる。しかし、我が国では収穫後に殺菌・消毒を行う有効な方法がない。このため、農産物を安全に殺菌・消毒できる技術が求められている。本研究では、窒素等の不活性ガス中で発生させたガスプラズマで処理することで、安全で効率的に農産物の殺菌・消毒を行う方法を開発する。これにより、安全な食品の供給に資することを目的とする。
2 研究の内容・主要な成果
(1)連続的に殺菌可能なプラズマ殺菌装置(ローラーコンベア型装置、種子用装置)を開発した。
(2)細菌、ウイルス、カビなど広範な病原体へのプラズマ殺菌の有効性を証明した。
(3)装置からのOHラジカル/Hラジカル発生と病原体の酸化修飾を確認し、プラズマ殺菌機構における酸化ストレスの重要性を明らかにした。
(4)アフラトキシンB1や志賀毒素(VT-1、VT-2)がプラズマ照射で分解できることを明らかにした。
(5)プラズマ処理では、加工処理で発生しやすい発がん物質の生成がほとんどないことを実証した。
公表した主な特許・論文
(1)特願 2015-109132 プラズマ殺菌装置 出願人(佐賀大学・琉球大学・大阪府立環境農林水産総合研究所)
(2)特願 2015-212715 プラズマ殺菌装置 出願人(佐世保高専・琉球大学・佐賀大学)
(3)Maeda K et al. Inactivation of Salmonella by nitrogen gas plasma generated by a static induction thyristor as a pulsed power supply. Food Control 52, 54-59 (2015).
3 今後の展開方向、見込まれる波及効果
(1)食品産業が求める、安全でかつコスト面でも優れた新しい高度殺菌・消毒技術の開発につながる。
(2)消費者の食の安全に対する意識の高まりに伴い強く求められている、確実な殺菌・消毒法の構築に必要な基盤技術となる。
(3)本技術の発展により、農薬を使用せずに長期貯蔵や長期輸送が可能になり、食の安全・安心への貢献が期待できる。
4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献
(1)輸送や貯蔵中におこる微生物由来の食品変質を抑制することができ、消費者へ質の高い農産物を供給できる。
(2)微生物汚染による農産物の生産・加工過程におけるロスを少なくすることができ、消費者の満足度の高い安全で高品質かつ安価な農産物が容易に手に入るようになる。

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