フェアリーリング惹起物質の植物成長制御機解明とその応用展開
- 課題番号
- 26014A
- 研究グループ
- 静岡大学(グリーン科学技術研究所、 大学院農学研究科、地域フィールド科学教育研究センター) 、 静岡県立大学薬学部
- 研究総括者
- 静岡大学 河岸 洋和
- 研究タイプ
- 技術シーズ〔一般〕
- 研究期間
- 平成23年~27年(5年間)
- PDF版
- フェアリーリング惹起物質の植物成長制御機解明とその応用展開(PDF : 972.3KB)
1 研究の背景・目的・目標
芝が輪状に色濃く繁茂する「フェアリーリング」を惹起するコムラサキシメジから、植物成長促進物質2-azahypoxanthine (AHX)とその関連物質imidazole-4-carboxamide (ICA) 、AHXの植物中での代謝産物2-aza-8-oxohypoxanthine (AOH) を得ていた。本研究では、これらの化合物の、1) 植物体内における内生の確認、2) 生合成経路・代謝経路・作用機構の解明、3) 栽培実験、4)より効率的な活性物質の合成法の開発、を行い、植物成長促進剤の開発の基礎を築くことを目標とした。
2 研究の内容・主要な成果
(1)フェアリー化合物(Fairy Chemicals、AHX、ICA、AOHの総称、FCsと略称)が植物で普遍的に内生していることを明らかにした。
(2)FCsを処理することによって、コムギ、イネなどの多くの農作物の収量が増加することを明らかにした。
(3)FCsは植物に様々なストレスに対する耐性を与えることを明らかにした。
(4)FCsの簡易大量合成法をほぼ確立し、さらに安定同位体ラベルFCsあるいは関連化合物の合成法を開発した。
公表した主な特許・論文
(1) 特願2015-033001、2-アザ-8オキソヒポキサンチンの製造方法、国立大学法人静岡大学
(2) Choi, J-H. et al. The source of "fairy rings": 2-azahypoxanthine and its metabolite found in a novel purine metabolic pathway in plants, Angew. Chem. Int. Ed., 53, 1552-1555 (2014)
(3) Tobina, H. et al. 2-Azahypoxanthine and Imidazole-4-carboxamide produced by the fairy-ring-forming fungus increase yields of wheat, Field Crop Res., 162, 6-11 (2014)
3 今後の展開方向、見込まれる波及効果
(1)高温障害 (不稔や生育不良)、低温障害または干ばつに対して、それらストレスの軽減効果に加え、収量維持などといった効果が期待できる。
(2)これまでにない新しい概念の植物成長促進剤の開発につながる。
4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献
(1)単位面積当たりの収量が増し、さらに、耕作可能範囲が広がるため、食料自給率の向上が期待できる。
(2)悪天候に対して一定の高収量が確保できるため、農作物の安定供給が期待できる。
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静岡大学・河岸洋和
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