コメ産業の国際化を狙った新規ハイブリッドライス育種基盤の開発
- 課題番号
- 26010A
- 研究グループ
- 東北大学大学院農学研究科
- 研究総括者
- 東北大学大学院農学研究科 鳥山 欽哉
- 研究タイプ
- 技術シーズ【一般】
- 研究期間
- 平成23年~27年(5年間)
- PDF版
- コメ産業の国際化を狙った新規ハイブリッドライス育種基盤の開発(PDF : 1060.2KB)
1 研究の背景・目的・目標
ハイブリッドライス(一代雑種イネ)は、通常の品種と比較して15~30%の収量増が期待され、その栽培面積は中国では58%、世界全体では13%を占めている。ハイブリッドライスの育種には、ミトコンドリアが原因で花粉が死ぬ雄性不稔系統(CMS系統)と花粉発育を正常化させる稔性回復系統が使われる。本研究では雄性不稔性発現および稔性回復の機構に関する分子基盤を解明するとともに、日本独自の育種素材の開発を目標とした。
2 研究の内容・主要な成果
(1)野生イネに由来する2種類のCMS(RT98とRT102)についてミトコンドリアの全ゲノム配列を決定し、CMS原因候補としてorf113とorf352を発見した。
(2)世界中で最も普及しているWA-CMSに対する稔性回復遺伝子として、PPR782aを発見した。BT-CMSに対する稔性回復遺伝子として、PPR791aを発見した 。
(3)CW-CMS/Rf17システムを用いて、従来では不可能であったインディカ品種(IR24やIR64)を雄性不稔化させることに成功した。ハイブリッドライス育種の交雑組み合わせを格段に増加できる新技術である。
公表した主な特許・論文
(1)特願2012-180824 イネRT型細胞質雄性不稔性原因遺伝子およびその利用 鳥山欽哉ら(東北大学)
(2) Okazaki, M. et al. Whole mitochondrial genome sequencing and transcriptional analysis to uncover an RT102-type cytoplasmic male sterility-associated candidate gene derived from Oryza rufipogon. Plant Cell Physiol 54, 1560-1568 (2013).
(3) Kazama, T. and Toriyama , K. A fertility restorer gene Rf4 widely used for hybrid rice breeding encodes a pentatricopeptide repeat protein. Rice 07時28分: 1-5 (2014)
3 今後の展開方向、見込まれる波及効果
(1)CW-CMS/Rf17システムを用いてWA-CMSに代替可能な日本独自のCMS系統と稔性回復系統の開発ができる。
(2)インディカ(♀)とジャポニカ(♂)の交雑によるF1ハイブリッド作出が可能となり、新規なハイブリッドライス育種が可能となる。
4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献
(1)日本独自のハイブリッドライス育種基盤が構築できたことにより、国内種苗産業の国際競争力の強化が期待できる。
(2)インディカ(♀)とジャポニカ(♂)の組み合わせによりF1種子生産効率の飛躍的アップと雑種強勢による増収が期待され、国産米の生産性向上と輸出力の向上に貢献できる。

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