スギ原木サプライチェーンの最適化と微粉砕物を利用した高付加価値製品開発
- 課題番号
- 25095C
- 研究グループ
- 秋田県立大学、森林総合研究所、白神森林組合
東北木材株式会社、秋田ウッド株式会社 - 研究総括者
- 秋田県立大学・木材高度加工研究所 高田 克彦
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- スギ原木サプライチェーンの最適化と微粉砕物を利用した高付加価値製品開発(PDF : 906.7KB)
1 研究の背景・目的・目標
林業低迷の一要因と考えられている複雑な原木流通システムについて、それらのサプライチェーンを見直し、最適化する手法を開発すると共に、新たな安定供給システムとして全ての材を4mに採材して供給するシステムを提案し、これらの両方法が実行可能な最適モデルを提示する。さらに、世界的な市場性を持つ木材-プラスチック複合材(WPC)に焦点を当てて、寸法安定性や耐久性を付与し得るメカノケミカル処理を行うことで新たな機能性材料を開発する。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 秋田県民有林のスギ人工林における間伐実施林分の約半数は平均蓄積250m3/ha以上、道路から林分までの最短距離は400m以下、平均傾斜25度以下、標高200m以下である。
(2) 集材材積が増えるほど運材距離が長くなるため平均集荷コストは上昇するが、全量4m供給システムに転換することによって従来のシステムに比べてコストを削減できる。
(3) ボールミルを用いたメカノケミカル法によるアセチル化木粉の量産技術を確立し、製造したアセチル化木粉を原料としてWPCを実機試作した。
(4) 製造したWPCはJISが定める以上の強度を有しながら、寸法安定性や変色などの耐久性能が従来製品よりも著しく向上した。
公表した主な特許・品種・論文
(1) 斎藤健志他.メカノケミカル処理によるベンジル化木粉の調製.日本木材学会誌 60(2), 94-99 (2014)
(2) 山田肇他.メカノケミカル法で調製したベンジル化木粉の特性.日本木材学会誌 61(2), 67-73 (2015)
(3) 瀧誠志郎他.マーケットインを志向した秋田スギ人工林の資源管理手法の構築-GIS支援による実用的な資源量の推定-.日本森林学会誌 97(6), 282-289 (2015)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 全量4m供給システム及び集荷コスト推計モデルに関しては、地方自治体、県森連等の協力を得ながらその利点や条件等を素材生産及び製材事業体にPRして普及を目指す。
(2) アセチル化木粉を用いたWPCの製造及び製品開発・販売は、本研究の普及支援組織によって実施する予定である。
(3) 難燃化WPC等の新たなマーケット開発に関しては、引き続き民間企業と大学・研究所との共同研究を実施する必要がある。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 木質資源を効率的に利活用するための安定供給システムは全国の中山間地域に展開・普及可能なシステムであり、間伐材等の未利用バイオマスの有効利用が促進されることから地域産業の発展を通じた地方活性化・地方創成に貢献できる。
(2) 本研究において開発したアセチル化木紛を用いたWPCはバイオマス度80%以上も可能であり、これらの新規材料の開発は国民の環境素材への関心に答えるとともに、更なる環境意識の醸成にも貢献する。
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秋田県立大学・木材高度加工研究所
高田克彦
TEL 0185-52-6900
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