先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発
- 課題番号
- 25093C
- 研究グループ
- 森林総合研究所、下川町
下川町ふるさと開発振興公社 - 研究総括者
- 森林総合研究所北海道支所 佐々木尚三
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 先進機械を活用した伐採・造林一貫システムによる低コスト人工林管理技術の開発(PDF : 1040.6KB)
1 研究の背景・目的・目標
わが国の人工林経営は諸外国に比べて高コストであり、伐採と造林作業の低コスト化による林業の競争産業化が喫緊の課題である。本プロジェクトでは、造林作業の30%コストダウンと、伐採の生産性18m3/人日以上を目標とする低コスト人工林管理技術として、(1) クラッシャ地拵装置と低密度植栽によるカラマツ等の低コスト造林システムの開発、(2)ハーベスタ・フォワーダを利用する全機械化伐出システムの構築と路網配置指針の明示、(3)伐採・造林一貫システムの適用条件解明とコスト評価を行い、林業の低コスト化を図る。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 地拵作業の完全機械化を実現するクラッシャ作業機を完成させた。地拵機械化による大きな省力効果と共に、粉砕物の土壌被覆効果により、下刈りの削減が可能となった。
(2) クラッシャ地拵後に大型苗を低密度植栽することで、植栽木が競合植生に被圧されることなく成長できることを明らかにした。この条件の場合、初期保育経費を30-40%の削減できることを示した。
(3) ハーベスタ・フォワーダによる全機械化システムは傾斜20°まで運用可能であり、路網を適切に配置して林内集材距離を100m程度に短縮すると、生産性30~50m3/人日、コスト2000~3000円/m3を達成できた。
(4) 提案する一貫システム(ハーベスタ・フォワーダを利用した伐採システムおよびクラッシャと低密度植栽技術を利用した低コスト造林技術)の適用可能地は、本研究でモデルとした下川町有林全体の82%にも及ぶことを明らかにし、道内他地域への普及可能性が大きいことを示した。
公表した主な特許・品種・論文
(1)原山尚徳他.クラッシャ地拵による下草抑制効果.北方森林研究64, 61-62 (2016)
(2)佐々木尚三.わが国のCTLシステムの現状.森林利用学会誌31(1) , 1-7 (2016)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 下川町と厚真町における現地検討会(H25~27年に計4回)、札幌市における国際シンポジウム(H28年2月)など、開発した低コスト伐採造林技術を北海道内外の林業技術者に普及する活動をしている。
(2) パンフレット「緩中傾斜地を対象とした伐採造林一貫システムの手引き」に本事業の成果を分かりやすく取りまとめ、普及活動に利用している。
(3) 開発したクラッシャ地拵機を厚真町などの事業で実証したと共に、次年度以降に道有林等でも実証することになっている。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 高コストの問題から生じている人工林の適期伐採や造林放棄などの解消に貢献できる。
(2) 危険できつい仕事とされている林業労働を機械化することができ、軽労安全な伐採や造林作業の実現に貢献する。
(3) 林業の低コスト化、さらに成長産業化に貢献する。林業の振興は、とくに山村地域にとって活力の維持、雇用の確保など大きな役割を担っている。

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