医食農連携による日向夏搾汁残渣を用いた骨代謝改善素材、飲料の実用化開発
- 課題番号
- 25086C
- 研究グループ
- 宮崎大学(医学部、工学部)、崇城大学
一丸ファルコス株式会社、宮崎県農協果汁株式会社 - 研究総括者
- 宮崎大学医学部 山口 昌俊
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型B
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 医食農連携による日向夏搾汁残渣を用いた骨代謝改善素材、飲料の実用化開発(PDF : 1032.4KB)
1 研究の背景・目的・目標
高齢化社会の到来により、骨粗鬆症を含めたロコモティブシンドロームが今後大きな問題になることが予想され、食品に対する健康訴求が高まっている。一方、原料の食品製造過程で発生する残渣は廃棄物処理される割合が高く、環境リサイクルの観点から残渣の付加価値化が強く求められている。本研究では、宮崎大学が発見した「日向夏骨代謝改善機能」のシーズを活用して、日向夏搾汁残渣抽出エキスの当該機能成分の解析、エキスを用いた飲料・素材の試作品開発、及びヒト介入試験による効果の実証を目指す。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 日向夏搾汁残渣抽出エキスに含まれる骨代謝改善機能の有効成分について、化学構造解析を行い、構成糖や結合位置を明らかにした。
(2) 日向夏搾汁残渣抽出エキス及びその機能性成分を含む画分は、ラット反転小腸においてカルシウムの吸収を促進することを見出した。
(3) ヒト介入試験において、日向夏残渣抽出エキスにより有害事象が起こらないこと、日向夏残渣抽出エキス添加ジュースが骨代謝マーカーの低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)を有意に抑制することを確認した。
(4) 日向夏搾汁残渣から香りがあり苦みの少ない高濃度透明濃縮エキスの低コスト大量製造法を確立した。
(5) 日向夏骨代謝改善飲料・素材の試作品作製及びアンケート調査により高評価を得た。
公表した主な特許・品種・論文
(1) Hata, H. et al. A water-Soluble high molecular weight substance isolated from Hyuganatsu orange (citrus tamurana), suspected to be a polysaccharide, inhibits rat osteoclast cell formation J. Functional Foods in Health and Disease 5(6),188-199 (2015).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 日向夏搾汁残渣エキスの骨代謝改善機能に関する補完データを構築して改善効果を公表し、機能性表示の届け出を行い、飲料の商品化を予定。
(2) 日向夏搾汁残渣エキスによるカルシウム吸収促進が明らかになったことから、飲料以外の新たな機能素材の開発の可能性が示唆され、新商品開発を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 地域の特産品である日向夏に新たな付加価値を付けることで、6次産業化の活性など地域の産業振興に寄与できる。
(2) 本研究の成果を活用したドリンクや製剤等の商品の普及によって、今後国民にとって大きな問題となる、ロコモティブシンドローム予防への貢献が期待できる。
この研究成果を活用しませんか?
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
宮崎大学医学部
TEL 0985-85-0988
同じ分野の研究成果
- 食品
- 機能性
- 新規魚油由来脂肪酸の事業化を見据えた基盤・実証研究
- 食品
- 発酵技術
- コエンザイムQ10高度生産酵母の開発
- 食品
- 食の安全性
- トランス脂肪酸問題の質的解決に向けたトランス脂肪酸異性体ごとの代謝性評価