見栄え抜群の新品種「みはや」の栽培を確立して年内産カンキツを活性化
- 課題番号
- 25083C
- 研究グループ
- 農研機構果樹研究所、福岡県農林業総合試験場、
長崎県農林技術開発センター、熊本県農業研究センター、熊本県天草広域本部 - 研究総括者
- 農研機構果樹研究所 塩谷 浩
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型B
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 見栄え抜群の新品種「みはや」の栽培を確立して年内産カンキツを活性化(PDF : 931.4KB)
1 研究の背景・目的・目標
年内産カンキツを独占する温州ミカンは果樹農業の基幹だが、近年は生産過剰さらに温暖化による浮皮発生が常態化しており、果実品質に優れる新品種への更新が渇望されている。この状況下で開発された「みはや」は11月下旬には成熟し、高糖度で食味良く、剥皮容易で浮皮しない。また、既存品種にはない真紅で滑らかな外観で産地の期待は大きい。消費者ニーズに応えつつ生産者の収益改善を図るため、その栽培技術を確立し普及する。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 施設内で苗木をジベレリンペーストも用いつつ双幹形で仕立てると2年生で枝の骨格が形成された苗木の生産が可能で、定植1年目の生育も良好である。
(2) 切り枝水挿し調査による翌春の着花量予測が可能であり、ジベレリン水溶剤を冬期に樹冠散布すると着花を抑制して発育枝が増加する。
(3) 主枝の誘引角度を発芽1か月前に50度に開くと、前年の夏枝から新梢発生が促進されて本格着果に必要な母枝数の確保ができる。
(4) 早期樹冠拡大と多収量化に有利なスィングルシトロメロ台樹においても高うねマルチ栽培によって高糖度果実の生産が可能であることを確認した。
(5) 高糖度かつ大玉な高品質果実を生産するため、シートマルチ栽培による果実品質向上効果を明らかにするとともに、その摘果方法および適正着果量を明確にした。
(6) 紅が濃く、見栄え抜群の果実を生産するため、着色期以降に褪色が多発する着果方位および部位を明らかにし、その褪色軽減に有効な果面保護技術を確立した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 「みはや」栽培開始からの未収益期間が短縮できる早期成園化技術とともに高品質果実を安定して生産できる技術を確立し、それぞれの手順を明快かつ具体的に記したマニュアルを作成した (印刷物配布並びにweb公開
https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/76d025cc6ff2f73705c1b24b678cf824.pdf)。
(2) 2015 年度までに、累積で約16,000 本の苗木が販売され、九州地域を中心に栽培面積が拡大している。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 近年の価格低迷と品質低下にもかかわらず温州ミカンに依存せざるを得ない年内産カンキツ経営が「みはや」の投入により改善されて地域経済の活性化が期待される。
(2) 年内産カンキツの購入にあたり選択肢を増すことで消費を促進し、国民の食生活の向上と健康増進への寄与が期待される。

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果樹茶業研究部門
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