普及型オンサイト家畜感染症検査システムの開発
- 課題番号
- 25081C
- 研究グループ
- 東芝メディカルシステムズ株式会社
JA全農 家畜衛生研究所、JA全農 ET研究所
長崎大学 熱帯医学研究所 - 研究総括者
- 東芝メディカルシステムズ株式会社 後藤浩朗
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型A
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 普及型オンサイト家畜感染症検査システムの開発(PDF : 1063.7KB)
1 研究の背景・目的・目標
日本の成長戦略の一環として農畜産物の輸出拡大が望まれる中、生産性向上などグローバル競争に向けた基盤整備が急務である。本研究ではDNAチップの特性を活かし、複数の病原体遺伝子を同時に検出可能な検査システムを開発、検査施設に加え、研究所、農場、診療所等オンサイトでの実証試験を通じて、有用性を示すことを目的とした。本成果により、海外で競争力の高い和牛等の家畜生産性向上、牧場の感染症フリー化、新たなジャパンブランドの価値創出、重要疾病の防疫対策の高度化へ強く資することを期待する。
2 研究の内容・主要な成果
(1)牛感染症遺伝子検出用DNAチップカードの開発
マーケティング調査から対象を選定、4種のカードを開発、試作
・大手牧場、研究機関等へのヒアリング(24施設)とアンケート調査(回答114、回収率29%)を実施
・疾病や検査材料の種類から遺伝子検出対象微生物を選定(32微生物遺伝子)し、4種のカードを開発
(1) ウシ呼吸器感染症遺伝子検出用(マイコプラズマ等10種の遺伝子を同時検出)
(2) ウシ腸管感染症遺伝子検出用(サルモネラ等14種の遺伝子を同時検出)
(3) ウシ生産効率関連感染症遺伝子検出用(牛白血病等4種の遺伝子を同時検出)
(4) パンデミック対策用(口蹄疫等12種の遺伝子を同時検出)
(2) 実証試験の実施
4施設で実証試験を実施し、実検体(223サンプル)を測定。呼吸器感染症遺伝子検出用カードについてはPCR法との比較検査を実施した。また、オンサイトでの普及に向けた自動抽出法も評価、DNA/RNAの自動抽出が可能であることを確認した。パンデミック対策用については、The Pirbright Institute (英国)において、実検体(5セロタイプ、20検体)を用い、蛍光LAMP法による口蹄疫遺伝子検出試験を実施。感度、特異性共に、標準PCR法と同等以上の感度であることが確認された。
(3) 研究成果の発表と意見交換会の開催
セミナー・シンポジウム(7件。内学会発表3件)、家畜保健所等への報告会(3件)で成果報告、意見交換
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 検査施設、牧場、診療所、研究所の4施設で実証試験を実施
(2) 研究用試薬のサンプル出荷開始 (東芝メディカルシステムズ [平成28年2月])
(3) JA全農家畜衛生研究所にて実用性評価試験に着手。評価終了後、事業化予定。
(4) 開発したDNAチップカードを活用した複合感染等実態調査など更なる研究企画に着手
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 簡便且つ迅速、高感度、多項目の遺伝子検査により家畜感染症の早期発見、複合感染発見を、より容易に実現することから生産性の向上に貢献するものと思料される。また、地域、オンサイトで迅速に検査結果を得られることから、経済的損失の抑止にも寄与するものと期待される。
(2) 入出牧時の検査常態化による牧場の感染症フリー化、「安心安全」など新たなジャパンブランドの価値創出、家畜感染症への初動強化など防疫対策の補完システムとしても期待される
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TEL 0287-26-5143
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