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凍結含浸法を利用した常温流通可能な形状保持軟化介護食の製造技術の開発

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
食品(加工)
適応地域
全国
キーワード
介護食品、酵素、軟化、缶詰、乾燥
課題番号
25080C
研究グループ
広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター、
(有)クリスターコーポレーション、三島食品(株)、
(国研) 農研機構 食品総合研究所、
(福)浜松市リハビリテーション病院、
(公財)ひろしま産業振興機構
研究総括者
広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター 重田有仁
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
凍結含浸法を利用した常温流通可能な形状保持軟化介護食の製造技術の開発(PDF : 1103.0KB)

1 研究の背景・目的・目標

凍結含浸法は、凍結処理と減圧によって食材内部に軟化酵素等を急速導入する技術で、食材の外観を残しつつも咀嚼困難者が喫食可能な軟らかい介護食品を製造できる。一方、凍結含浸介護食は、極めて軟らかい故に流通中に型崩れしやすいため、主に冷凍食品として販売されている。本研究では、冷凍に係る製造・流通コスト削減や販路拡大、さらには防災用備蓄介護食としての展開を目的とし、常温流通(缶詰、乾燥食品)且つ長期保存が可能で低コストの形状保持軟化食品の製造技術の開発と商品化を目標とする。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 常温流通可能で流通中に型崩れしない缶詰食品の製造技術を開発し、5×104N/m2以下の軟らかさ(肉・魚・根菜類等)を持つ介護食品として試作品の製造と介護食専門展示会等での求評を行った。

(2) 食材に酵素・油脂等を導入した後に熱風乾燥することで高品質(軟らかさ・外観・色調)な乾燥素材を製造する技術を開発し,湯戻しして食べる新規乾燥介護食品の試作品の製造を行った。

(3) 筋電位測定による物性評価を行い,軟化に伴う食べ方(咀嚼回数等)の変化を明らかにし,また,べたつきや飲み込みやすさなど,従来の物性測定では表現できない指標を評価できることを確認した。

(4) 浜松市リハビリテーション病院で臨床評価を行い,凍結含浸食は従来の嚥下移行食と同等の食べやすさを有しており,少ない咀嚼回数,総筋活動量で,誤嚥等なく安全に摂食できることを明らかにした。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 特許第5751526号 「乾燥食品素材およびその製造方法」 (2015年5月29日 出願人:広島県,三島食品株式会社)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 介護食専門の展示会への出展や、各種研究会、実需者や流通業者での調査を通じ、本研究の基盤技術である「凍結含浸技術」についての認知度を高めると共に、アンケート調査結果に基づく商品設計の見直しや、技術的な改良を行った。

(2) 缶詰等の製造技術を(有)クリスターコーポレーションに導入し,100kg規模の製造試験を行うと共にH28年度以降の製造・販売に向けて、食品企業での製造条件改善やメニュー開発に取り組んでいる。

(3) 新規乾燥技術を三島食品(株)に導入し,100kg/バッチの製造テストを行い,H28年度の商品化に向け、乾燥介護食を始め、高品質乾燥素材を利用したふりかけ等について食品企業での製造工程改善に取り組んでいる。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1) 通常の食品とほぼ同等の外観を有し,且つ嚥下困難者が喫食可能な凍結含浸食は,これまでペースト食などに頼らざるを得なかった高齢者に「食べる喜び」を取り戻し,精神的、肉体的な意味での活力を維持向上することができる。さらに,常温流通化(缶詰,乾燥食品)することで,凍結含浸食の入手性が高まる他,病院施設や家庭での取り扱いも容易となり,また保存性向上による防災用備蓄食としての利用も想定される。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

広島県立総合技術研究所

食品工業技術センター
TEL 082-251-7433

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