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農林水産技術会議

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昆虫同定検査のための低コストで簡便・迅速・精確な DNA分析システムの開発

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
食品(検査・評価)
適応地域
全国
キーワード
穀類、害虫、検査、DNA、PCR
課題番号
25076C
研究グループ
農研機構食品総合研究所、大阪大学、コニカミノルタ株式会社、国際衛生株式会社、株式会社ニッポンジーン
研究総括者
農研機構食品総合研究所 古井 聡
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
昆虫同定検査のための低コストで簡便・迅速・精確な DNA分析システムの開発(PDF : 1157.6KB)

1 研究の背景・目的・目標

顕微鏡などによる昆虫の目視検査は、熟練(経験・訓練・専門知識)が必要で時間や手間が掛かるが、DNA検査は単純作業なので熟練は不要、かつハイスループットが可能という利点がある。本研究では、植物防疫や食品衛生管理に重要な貯穀害虫についてDNAによる低コストで簡便・迅速・正確な昆虫の分類手法(同定法)および装置の実用化を目的として、貯穀害虫を1時間以内で特定(DNA抽出→PCR →判定まで)可能な小型検出システムの試作機開発を目指す。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 主要な貯穀害虫12種のミトコンドリアDNAを網羅的に解読し、得られた配列情報から高い特異性・迅速検知を実現する試薬を作成した。

(2) 従来のDNA抽出法を見直し、昆虫を試料とした際にDNAのクオリティが高く、所要時間の少ない抽出法を開発できた。

(3) 流路チップPCR装置のうち、チップについては、成形技術、流路断面積、試料導入法、専用試薬等を最適化し、飛躍的に性能が向上した成形型チップを開発した。また、PCR装置については、研究開始時に比べ検出法の最適化等で大幅なサイズダウンに成功し、小型・高性能化を達成した。

(4) 貯穀害虫を1時間以内で特定可能な小型分析システムのプロトタイプを試作し、基礎技術を確立した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 特願2014-216494 食品害虫検出用オリゴヌクレオチド (農研機構 食品総合研究所、株式会社ニッポンジーン)

(2) 特願2015-207627 食品害虫検出用オリゴヌクレオチド (農研機構 食品総合研究所、株式会社ニッポンジーン)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 食品害虫検査用のプライマー・プローブは、社会のニーズを踏まえて普及や製品化を進める。

(2) 簡便・迅速・精確なチップPCR装置については、引き続き技術的深化を図り、製品化を進める。

(3) 開発された技術の移転・普及にあたっては、食品関連の学会、セミナー、展示会等において引き続き本事業の成果を紹介し、活用をサポートする。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1) わが国で日常消費される食材の安全・安心に関する検査の効率化が達成され、国民生活に資する。

(2) 開発された迅速チップPCR装置は安価で簡便・迅速・正確な同定システムであるため、食品へ貯穀害虫が混入した現場で、経験や能力を必要としない同定ワークフローが実現されるだけでなく、昆虫同定以外のDNA検査産業分野への技術的波及効果も期待できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構

食品研究部門(古井 聡)
TEL 029-838-8081

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