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農林水産技術会議

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酵素剥皮技術の利用を核としたカンキツ果実新商材の開発と事業化方策の策定

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
農業(果樹)
適応地域
全国
キーワード
ミカン、カンキツ、ブンタン、酵素剥皮、カットフルーツ
課題番号
25074C
研究グループ
農研機構果樹研究所、農研機構中央農業総合研究センター、
高知県農業技術センター、高知県工業技術センター、
近畿大学生物理工学部、東京農業大学国際食料情報学部、
株式会社弘法屋、株式会社岡林農園、マルハニチロ株式会社
研究総括者
農研機構果樹研究所 生駒 吉識
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
酵素剥皮技術の利用を核としたカンキツ果実新商材の開発と事業化方策の策定(PDF : 989.0KB)

1 研究の背景・目的・目標

果実の需要が停滞する中、その加工品割合が増加し、果実加工品の重要度が増大している。また、生産農家と加工業者等の連携により、付加価値の高い加工品を開発し、生産者の所得増大を図ることが重要とされている。このため、生の食感や香りといったフレッシュ感を維持して剥皮できる酵素剥皮技術について、カンキツタイプ別に最適化するほか、カットフルーツ生産に適した栽培技術や剥皮果実の鮮度保持技術を開発し、これらの技術を活用した事業化方策を策定する。

2 研究の内容・主要な成果

(1)ミカン系、オレンジ・タンゴール系、ブンタン系の3タイプ毎に、酵素濃度を低濃度の0.05%(一般的な濃度は0.1~0.5%)とした剥皮の基本条件を決定し、さらに剥皮果実を10日間鮮度保持する技術を開発した。

(2)酵素剥皮初期工程の刃物を用いる「果皮の傷付け」の簡素化に有効な、「溶液浸漬果皮付傷法(20℃条件下で0.5%の酵素剤と0.1%の界面活性剤を含有する溶液に浸漬するだけで付傷)」を開発した。

(3)酵素溶液の真空含浸工程に食品製造所に普及が進んでいる「縦型真空包装機」を利用する技術を開発し、酵素剥皮技術の普及の妨げとなっている真空含浸のための設備投資を回避又は軽減できるようにした。

(4) ジベレリン散布による「土佐ブンタン」無種子化栽培技術を開発したほか、無種子果実を用いた酵素剥皮実証試験で、加工コストが従来法より低下すること等を明らかにし、酵素剥皮技術の事業化指標を示した。

公表した主な特許・品種・論文

(1)大浦裕二他.酵素剥皮技術を用いた温州ミカンの市場性に関する一考察.フードシステム研究21(3),230-233 (2014)

(2)野口真己他.ウンシュウミカン内皮の酵素剥皮の処理温度が官能特性と糖,有機酸,アミノ酸組成に与える影響.日本食品科学工学会誌62(8), 402-408 (2015)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1)既に開設済みの農研機構果樹研究所の酵素剥皮に関するホームページにおいて、本研究で得た種々の品種に対応する酵素剥皮の基本条件やその簡易化法(刃物を用いない傷付け処理法や真空含浸工程での縦型真空包装機の利用法等)に関するマニュアル化された技術情報を提供し、技術の普及を推進。

(2) 「多品種・消費地加工型」の事業モデルにおいて、「丸ごとミカンスイーツ」と「カンキツミックスパック」製品を開発し、研究グループの株式会社弘法屋から製品の販売を開始。

(3)「土佐ブンタン」に対する酵素剥皮技術の導入について、高知県内の果実加工業者等と協議中。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1)開発した酵素剥皮技術は中小の事業者への導入が想定され、生産農家自体がこの技術を活用して加工品を製造販売する場合や、地域において生産農家と加工を行う事業者が連携してこの技術を利用し加工品を製造する場合には、それぞれの所得や利潤の確保・向上に役立つと考えられ、新たな6次産業化等により、地域経済の活性化等が期待できる。

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農研機構

果樹茶業研究部門
TEL 029-838-6453

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