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農林水産技術会議

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高齢・障がい者など多様な主体の農業参入支援技術の開発

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
農業(農作業)
適応地域
全国
キーワード
高齢・障がい者、省力的かん水技術、農作業環境改善、軽労化、農作業評価
課題番号
25071C
研究グループ
(地独)大阪府環境農林水産総合研究所、
島根県農業技術センター、国立大学法人岡山大学、
農研機構農村工学研究所、同近畿中国四国農業研究センター
社会福祉法人同仁会のぞみ園、株式会社グリーンファーム
研究総括者
農研機構農村工学研究所 石田 憲治
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
高齢・障がい者など多様な主体の農業参入支援技術の開発(PDF : 1090.2KB)

1 研究の背景・目的・目標

農業者の高齢化が進み、農業後継者や新規就農者不足が常態化して、農業を担う多様な人材の確保が急務となっている。また、社会的には障がい者の雇用促進が求められている。高齢・障がい者の農作業への参加を妨げる障壁を明らかにし、その障壁を取り除いて、高齢・障がい者の農作業の可能性を高める省力的栽培技術や軽労化技術の開発を行い、多様な主体の農作業参加を円滑かつ可能にすることを目標とする。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 高齢・障がい者が利用しやすい農作業環境改善技術として、農地へのアクセス性改善のための簡易な進入路スロープを試作し、ミスの軽減や作業速度の向上に有効な治具の選択と作業空間の視認性向上技術を開発した。

(2)電源設備の有無に制約されずに設置できる拍動かん水装置を導入して、車椅子での作業が可能なコンテナ根域制御によるブドウの省力的軽労化栽培技術を開発した。

(3) 抵抗棒の後方に車輪を追加して耕深を安定させ、ハンドルに直結する減速機構を備えた耕うん機を開発するとともに、市販農作業用一輪車の構造を活かして低コストで二輪化した電動運搬車を開発した。

(4) 身体負荷の大中小により大別した個々の農作業をスコア化することにより、高齢・障がい者の身体活動能力や障がい特性に合わせて農作業と作業者をマッチングするシートを作成した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 特願 2014-243630 特許名:枝類の誘引用クリップ及び誘引方法 (出願人:島根県)

(2) 鬼丸竜治他.都市圏で暮らす高齢非農家住民の農作業参加構造の分析-健康づくりに着目して-.農村工学研究所技報(217), 63-74 (2015)

(3) 笠原賢明他.ブドウコンテナ栽培のための太陽電池駆動ポンプによる灌水装置の開発.近畿中国四国農業研究センター研究報告(16),1-12 (2016)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 高所タンクを廃し生育過程によるかん水量変更を可能にした拍動かん水装置を高齢・障がい者のブドウコンテナ栽培に導入し、果実収量と品質低下のないことを実証して普及に着手した。

(2) 改良した耕うん機は、福祉事業所での障がい者による試運転を重ねて障がい程度の違いによる操作性の限界を改善して実用性を向上させる。二輪化電動運搬車は、普及に向け改造手順の手引きを作成中。

(3) 開発技術に関する公開の研究会を2回開催して、改良耕うん機や二輪化運搬車の試運転や機器の展示を行い、広報に努めるとともに、開発した枝類誘引器具の特許出願を行った。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1) 本研究で開発した諸機材や改良技術の実用化により、高齢・障がい者の農作業参加を促すことができ、安定した食料供給という国民のニーズに応えつつ、共生社会の実現に資する。

(2) 高齢・障がい者の身体活動能力や健康状態に応じた農作業への参加が可能になり、福祉施設での農業への取組を通して高齢・障がい者の身体活動機会の増加が健康寿命を延長させ医療費の軽減に資する。

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この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構

農村工学研究部門
TEL 029-838-7668

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