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農林水産技術会議

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クリのくん蒸処理から脱却するクリシギゾウムシ防除技術の開発

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
農業(果樹)
適応地域
全国
キーワード
クリ、クリシギゾウムシ、防除、温湯処理、氷蔵処理
課題番号
25070C
研究グループ
農研機構果樹研究所,茨城県農業総合センター園芸研究所,岐阜県中山間農業研究所中津川支所,
山口県農林総合技術センター,愛媛県農林水産研究所果樹研究センター,熊本県農業研究センター果樹研究所,京都府農林水産技術センター農林センター,(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所,兵庫県立農林水産技術総合センター,島根県農業技術センター
研究総括者
農研機構果樹研究所 井原 史雄
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
クリのくん蒸処理から脱却するクリシギゾウムシ防除技術の開発(PDF : 890.8KB)

1 研究の背景・目的・目標

臭化メチルはオゾン層破壊物質であるため、収穫物への使用が2015年12月に全廃されたことから、クリのくん蒸処理に代わるクリシギゾウムシ防除技術の確立が急務となっている。代替技術としては、栽培期間中の防除技術や収穫後の殺虫処理(温湯処理および氷蔵処理)を、産地の規模や状況に合わせて、導入する必要がある。そこで、生産者が導入しやすい代替技術を確立し、マニュアル化することを目的としている。

2 研究の内容・主要な成果

(1) クリシギゾウムシ成虫の発生時期およびクリの被害果発生時期について調査し、8月から9月にかけて発生のピークがあること、被害果発生時期は地域によって9月上旬から中旬と異なる事を明らかにした。

(2) 成虫発生時期に合わせた防除を行い、合成ピレスロイド系殺虫剤による高い防除効果が認められた。また収穫間隔を短くし、収穫から消費まで低温で流通させる重要性を明らかにした。

(3) 冷蔵処理について、殺虫効果に加えて、低温で処理することで食味が良くなること、長期保存により販売時期を調節することで有利販売が可能であることを実証し、導入メリットを明らかにした。

(4) 温湯処理について、冷蔵と組み合わせて処理時間の短縮を達成するとともに、乾燥機の有効性を明らかにした。また、小規模な産地に適した簡便な処理方法を提示した。 これらの成果はマニュアルとして公開した。

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 課題期間中30回を超える説明会を開催し、生産者に対して技術の普及を推進し、薬剤散布時期、収穫間隔、収穫後の低温流通などが導入され始めている。

(2) 氷蔵庫は氷蔵処理の有利性を示し、数件の生産者が導入を検討中。

(3)マニュアル「クリシギゾウムシに対する臭化メチルくん蒸処理代替技術について」をホームページに公開中
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/fruit/material/058024.html)。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1)クリ出荷額は全国で推定約80億円(13,500トン、農水統計情報)となっており、成果の普及は我が国のクリの安定供給に貢献できる。

(2)クリは季節を強く感じることのできる果物で、和洋を問わず多彩な菓子・料理の原料としても使用されており、クリの安定供給は我が国の豊かな食生活の維持への貢献が期待される。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構

果樹茶業研究部門
TEL 029-838-6416

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