関東甲信越地域の気象資源とソルガム新品種を活用した省力多収飼料作物栽培技術の開発
- 課題番号
- 25067C
- 研究グループ
- 農研機構畜産草地研究所、近畿中国四国農業研究センター、
長野県畜産試験場、群馬県畜産試験場、
新潟県農業総合研究所畜産研究センター、
茨城県畜産センター、神奈川県畜産技術センター - 研究総括者
- 農研機構畜産草地研究所 菅野 勉
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型A
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 関東甲信越地域の気象資源とソルガム新品種を活用した省力多収飼料作物栽培技術の開発(PDF : 1020.2KB)
1 研究の背景・目的・目標
近年の国際的な穀物価格の上昇は、我が国の畜産経営を大きく圧迫しており、畜産経営を安定させるためには、自給飼料の増産が不可欠である。本研究では、関東甲信越地域を対象とし、(1)スーダン型ソルガム新品種「涼風」を活用した、中山間地個別農家向けの省力的で獣害回避可能な飼料生産技術、及び(2)スーダン型ソルガム新系統「東山交30号」を活用したコントラクター*向けの省力的なトウモロコシ・ソルガム混播2回刈り栽培体系を開発し、その導入適地を明らかにする。
*:作業受託組織
2 研究の内容・主要な成果
(1) ソルガム「涼風」とイタリアンライグラスを組み合わせた年3回刈り栽培体系は、中山間高標高地等の獣害回避のための慣行栽培(ソルゴー型ソルガム年1作)よりも年間TDN収量が3割以上向上することを明らかにするとともに、現地試験により、クマによる獣害が発生しないことを確認した。
(2) ソルガム「東山交30号」とトウモロコシの混播2回刈り栽培体系は、慣行二毛作(トウモロコシ-イタリアンライグラス)に比較し、年間TDN収量が同等以上で、10a当たりの年間作業時間が約3割短縮されることを明らかにした。
(3) 開発対象とする2つの栽培体系について、有効積算温度を指標とする適地判定指標を作成するとともに、関東甲信越地域の適地判定マップを作成した。
(4) 営農圃場における実証試験により、「涼風」を用いた年3回刈り主体の自給飼料生産を行うことで酪農経営における所得の向上が可能になることや、「東山交30号」を用いた混播2回刈り栽培体系により、従来のソルガム品種を用いた場合よりも生産コストの低減が可能になることを明らかにした。
公表した主な特許・品種・論文
(1)浅井貴之他.ソルガム類を活用した中山間地向け高品質飼料生産技術. 日本草地学会誌61(3),184-193
(2)折原健太郎他.ソルガム類を活用したコントラクター等に適した省力的多収飼料生産技術. 日本草地学会誌61(3),194-201
(3)菅野勉他.ソルガム類を活用した多収作付体系の関東甲信越地域における導入適地. 日本草地学会誌61(3),202-207
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) ソルガム「涼風」及び「東山交30号」について合計9か所の生産圃場において現地試験を行い、普及のための実証展示を行った(平成27年度)。
(2) 中山間高標高地向けのソルガム「涼風」・イタリアンライグラス「優春」連続栽培及び収穫・調製マニュアル(長野県版)を28年3月に策定予定。また、28年度に関東甲信越版の技術解説パンフを作成予定。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) ソルガム「涼風」を用いた獣害回避型の栽培体系及び「東山交30号」用いた省力的栽培体系の普及により、自給飼料の安定供給と飼料生産コストの低減が可能になる。
(2) 畜産物生産コストの低減により畜産物の安定供給が可能になり、我が国の豊かな食生活の実現に貢献できる。

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