国産赤身型牛肉である乳用種牛肉の輸入牛肉に対する差別化技術の開発
- 課題番号
- 25064C
- 研究グループ
- 農研機構畜産草地研究所、北海道大学大学院農学研究院
北海道立総合研究機構畜産試験場、ホクレン農業協同組合連合会、鹿追町農業協同組合、株式会社電通北海道 - 研究総括者
- 農研機構畜産草地研究所 佐々木 啓介
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型A
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 国産赤身型牛肉である乳用種牛肉の輸入牛肉に対する差別化技術の開発(PDF : 931.8KB)
1 研究の背景・目的・目標
赤身型である国産乳用種牛肉は、全体の生産量のうち3分の1程度を占めている。しかし、「見た目が同じ」というだけで、同じ赤身型である輸入牛肉との間の理化学特性などの品質や官能特性、および消費者嗜好の違いの有無については明らかにされていなかった。そこで本研究では国産乳用種牛肉と輸入牛肉の品質特性の違いを解明し、この違いを表示することによる差別化技術を開発する。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 国産乳用種牛肉の一般成分、物性、呈味成分などの理化学特性を分析した。また、訓練されたパネルによる専門家型官能評価の特性について、国産乳用種牛肉は味、口中香、食感の評価項目において輸入牛肉と違いがあるものを見いだし、国産乳用種牛肉と輸入牛肉の間に「食べてわかる違い」があることを明らかにした。
(2) 生産地(北海道)と大消費地(関東)に住む一般消費者約300名による嗜好調査から、乳用種牛肉は輸入牛肉と和牛肉との中間的な程度に好まれることを明らかにした。
(3) 消費者の中には国産乳用種牛肉を特に好ましいと感じるグループが存在することを見いだした。
(4) 上記の成果から、国産乳用種牛肉を輸入牛と差別化するために、乳用種牛肉を特に好ましく感じる消費者をターゲットとして「国産乳用種牛肉のおいしさ」を表示するパネルやラベルシールを試作し、実店舗で販売試験を行った。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 北海道鹿追町において、研究成果を説明する生産者向けセミナーを実施した。また、北海道十勝地域において生産者・流通業者向けセミナーを実施した。
(2) 「国産赤身型牛肉の品質評価・表示による差別化マニュアル」については、より詳細なデータを盛り込んだ実用マニュアルとしてアップデートを実施する(次年度、印刷物として発行予定)。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 国産乳用種牛肉の輸入牛肉に対する競争力が強化され、乳用種牛肉の肥育経営が安定化する。さらに、これを通じて乳用種牛肉の素牛供給元である酪農経営の基盤が強化されることが期待される。
(2) 赤身型の乳用種の精肉にわかりやすく「おいしさ」が表示されることで、消費者が自分にとって好ましいと感じる品質の牛肉を主体的に選択して購入できるようになり、豊かな食生活の向上に貢献する。

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