口蹄疫ウイルス全血清型の検出及び型別可能イムノクロマトキットの開発
- 課題番号
- 25044B
- 研究グループ
- 農研機構動物衛生研究所、日本ハム株式会社
富士フイルム株式会社 - 研究総括者
- 農研機構動物衛生研究所 森岡 一樹
- 研究タイプ
- 産学機関結集型B
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 口蹄疫ウイルス全血清型の検出及び型別可能イムノクロマトキットの開発(PDF : 872.5KB)
1 研究の背景・目的・目標
口蹄疫は牛・豚・ヤギ・ひつじ等の偶蹄類動物が感染する急性伝染病で、世界で最も恐れられている家畜伝染病の一つです。伝染力が非常に強く、速やかな初動対応が必要であること、互いにワクチンの効かない7つの血清型があり、ワクチンの準備等のために早期の血清型別が有用であることから、本課題では簡易・迅速かつ高感度に口蹄疫ウイルス全7血清型の検出および血清型別が可能なイムノクロマトキットの開発を行った。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 口蹄疫ウイルスに反応するモノクローナル抗体を樹立した。
(2) これまで増感装置を必要としていた銀増感イムノクロマトの装置レス化および複数のラインの塗布を可能にするための条件設定に成功した。
(3) (1)で作製した抗体、銀増感技術およびイムノクロマト作製技術を集結し、高感度な口蹄疫ウイルス抗原検出イムノクロマトキットの開発に成功した。
(4) 感染牛の検体を用いた陽性検体の検出率は海外市販品が19.4%であったのに対して、本法は72.1%と高い検出率を示した。感染牛の摘発という観点で捕らえると、試験期間の14日間通して100%摘発することが可能であった。また海外市販品において唾液を多く含んだ材料は検査できなかったが、本法では、口蹄疫のサンプルに混入の予測される唾液の混入による検査への影響を抑えることに成功している。
3 今後の展開方向、見込まれる波及効果
(1) 今後、より多くの陰性検体を用いた偽陽性に対する検証および、最新の海外流行株に対する反応性の検証を行う。
(2) わが国は口蹄疫清浄国であるため、口蹄疫発生国での野外サンプルを用い、陽性検体に対する反応性も含めた実証試験を行う。
4 開発した技術・成果が実用化されることによる国民生活への貢献
(1) 本課題の成果が、実験室内診断法との組み合わせにより活用されれば、口蹄疫発生時の早期摘発および迅速な血清型判別によるワクチンおよび血清検査キットの準備等、口蹄疫の防疫に貢献する。
(2) 我が国のみならず診断施設および社会的インフラの整っていない周辺の口蹄疫発生国で防疫に有効活用されることにより、我が国への口蹄疫の侵入リスクを低減化できる。
(3) (1)の口蹄疫発生時に防疫への活用および(2)による口蹄疫の我が国への進入リスクの低減化により、我が国の畜産業および周辺産業への被害の低減化および国民への食肉の安定供給に貢献できる。
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