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農林水産技術会議

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ヴァイロコントロール因子の利用技術開発:果樹病害の治療・制御

年度
2016
ステージ
発展
分野
農業(病害虫)
適応地域
全国
キーワード
リンゴ、果樹類、白紋羽病、リンゴ腐らん病、マイコウイルス
課題番号
25032AB
研究グループ
農研機構果樹研究所、 岡山大学、神戸大学
豊田合成株式会社
研究総括者
農研機構果樹研究所 兼松 聡子
研究タイプ
産学機関結集型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
ヴァイロコントロール因子の利用技術開発:果樹病害の治療・制御(PDF : 1040.7KB)

1 研究の背景・目的・目標

永年性作物である果樹の根や幹を腐敗させる糸状菌病(白紋羽病、リンゴ腐らん病など)は甚大な被害をもたらすため、持続的な防除法が切望されている。そこで、菌の病原力を低下させる菌類ウイルス(マイコウイルス)を利用した生物防除(ヴァイロコントロール(VC))の実現にむけて、VC因子保持菌を治療剤として利用するための技術を開発する。具体的には、1) VCの基本技術であるオーダーメイド治療技術を構築し、更には、2) VCの汎用性を大きく高めることが可能となるユニバーサル治療のための基礎技術を開発する。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 新奇ウイルスを含む10新種以上の白紋羽病菌由来マイコウイルスの性格づけを行った。

(2) 和合性のVC因子保持菌を罹病部の周囲に処理して菌糸融合によりVC因子の伝搬を促す方法により発病伸展の抑制効果を実証した。本法は、オーダーメイド治療技術の基本手順となる。

(3) 白紋羽病菌、リンゴ腐らん病菌の生育に適した栄養剤を選抜し、プロトタイプ製剤を作製した。

(4) 和合性に依存せずに任意の菌体にVC因子を伝搬させることが可能な白紋羽病菌の変異株を見いだし、ユニバーサル菌として利用可能なことを明らかにした。また、白紋羽病菌の不和合性反応により誘導される遺伝子群を特定した。

公表した主な特許・論文

(1) 特願 2016-26010 「白紋羽病菌の菌体間でマイコウイルスを移行させるユニバーサル菌」(出願人:農研機構)

(2) Zhang, R et al. A capsidless ssRNA virus hosted by an unrelated dsRNA virus. Nat. Microbiol. 1, Article 15001 (2016).

(3) Uwamori, T et al. Self/non-self recognition during hyphal interactions in Rosellinia necatrix. J. Gen. Plant pathol. 81(6), 420-428 (2015).

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1) 構築されたオーダーメイド治療技術の基本手順はヴァイロコントロールの基盤となる。また、この基本手順を準用することで、ユニバーサル菌を応用技術へと展開することが期待される。

(2) ユニバーサル治療の基礎技術はヴァイロコントロールの汎用性を高めるものであり、他の糸状菌病害のヴァイロコントロールにも応用できる可能性がある。

4 開発した技術・成果が実用化されることによる国民生活への貢献

(1) 新規で持続的な糸状菌病防除技術としてヴァイロコントロールが白紋羽病やリンゴ腐らん病による生産被害を減少させることが期待される。

(2) 農薬に依存しない安全・安心な新規病害防除法により、リンゴやナシなど果樹類の安定生産・安定供給に寄与し、ひいては果樹産地の地域振興に貢献する。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構

果樹茶業研究部門
TEL 019-645-6156

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