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加齢疾患関連酵素に作用する新規ポリフェノール探索と食品開発の基盤研究

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
食品(機能性)
適応地域
全国
キーワード
褐藻、ポリフェノール、Pin1、幹細胞、肥満、活性酸素
課題番号
25028A
研究グループ
東北大学農学部
研究総括者
東北大学 内田 隆史
研究タイプ
Bタイプ
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
加齢疾患関連酵素に作用する新規ポリフェノール探索と食品開発の基盤研究(PDF : 1019.7KB)

1 研究の背景・目的・目標

ポリフェノールは健康増進効果があるとされ、国内外で大きな市場を形成している。しかし、その作用の機構は抗酸化活性以外不明である。我々は、Pin1遺伝子欠損マウスの解析から、ポリフェノールがPin1を調節していると推察した。この仮説を検証し、ポリフェノールの健康増進機構を分子レベルで解明し、新たなトクホの創出、新機能ポリフェノールの探索に寄与すること、ひいては新たな健康食品開発を行い国民の健康に寄与するとともに、新たな産業の創出にも貢献することを目標とする。

2 研究の内容・主要な成果

(1) タンパク質構造変化促進酵素であるPin1の活性を阻害するポリフェノールとして、 974B(褐藻)、エピガロカテキンガレート(EGCG)、タンニン酸、カフェ酸誘導体(MT2)を見出した。

(2) 褐藻ポリフェノールをマウスに摂取させたところ、脂肪の蓄積量を低下させたが、間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化を促進するPin1を974Bが阻害したことが原因であることを解明した。

(3) 癌細胞株の増殖抑制試験では、カフェ酸誘導体(MT2)のみが癌細胞増殖抑制作用を示した。

(4) 活性酸素でかつシグナル伝達物質である一酸化窒素量を低下させるポリフェノールを探索する目的で、根粒菌の硝酸関知タンパク質を応用した細胞内の硝酸センサ、sNOOOpyを開発した。

公表した主な特許・論文

(1) Hidaka, M. et al. sNOOOpy, a Sensor for Physiological NO 3/NO 2 Employing a Bacterial Two-Component Regulatory System. J Biol Chem 291, 2260-2269 (2016)

(2) Mori,T. et al. A High-Throughput Screen for Inhibitors of the Prolyl Isomerase, Pin1, Identifies a Seaweed Polyphenol that Reduces Adipose Cell Differentiation. Biosci Biotechnol Biochem 78, 832-838. (2014)

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1) 褐藻ポリフェノール974Bは、幹細胞の脂肪細胞への分化を抑制するので、マウスに抗肥満食を与えても肥満にならないことから、サプリとしての開発につながり、また海藻の需要を喚起する。

(2) 細胞内の硝酸・亜硝酸(ほぼNOとパラレル)を測定できるセンサーsNOOOpyは、生体ホメオスタシスの新たな評価となり、ユーザーの要望により多様な展開につながる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

(1) 褐藻ポリフェノールを摂取することで、肥満、生活習慣病、心臓血管病など多くの疾患の予防や改善に役立つと期待できる。

(2) Pin1活性および一酸化窒素濃度の測定による新たな生体ホメオスタシス評価系が加齢疾患を予防尾・改善する健康食品の開発に役立つと期待できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

東北大学大学院農学研究科

022-717-8603

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