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農林水産技術会議

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植物-微生物相互作用による共生栄養供給能の向上と安定制御の実現

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
農業(畑作物)
適応地域
全国
キーワード
ダイズ・ネギ、アーバスキュラー菌根共生、根粒共生、共生促進剤、微生物肥料
課題番号
25023A
研究グループ
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
共生システム研究部門
研究総括者
基礎生物学研究所 武田 直也
研究タイプ
Bタイプ
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
植物-微生物相互作用による共生栄養供給能の向上と安定制御の実現(PDF : 926.6KB)

1 研究の背景・目的・目標

植物は「根粒菌」との根粒共生によりチッソ源を、「菌根菌」との菌根共生によりリン源を得ることができるようになる。このような微生物との共生による栄養供給は低肥料・低農薬型の農業を目指すうえで特筆すべき生物機能であり、これらの機能を有効に利用することで従来の施肥技術の改善が期待できる。植物の生育に大きな利益をもたらす共生栄養供給の大規模な利用を可能とするためには、安定した生物間相互作用の制御と共生効果のさらなる向上にむけた技術開発が必要となる。

2 研究の内容・主要な成果

(1) チアミン合成酵素遺伝子の研究とチアミン添加による根粒形成への影響を解析することで、根粒形成におけるチアミンの機能を明らかとした。

(2) 菌根共生・根粒共生へのジベレリンの作用は、ジベレリンシグナルが共生シグナルに干渉し、共生遺伝子発現を制御することで生じることを明らかとした。

(3) 「共生促進剤」としてのチアミン・ジベレリンの添加実験から、これらの物質の外部からの投与による共生能の調整が可能であることを確認した。

(4) さまざまな作物種におけるチアミン・ジベレリン合成阻害剤の評価を行い、これらの共生促進剤の農業利用に向けた基盤を整えた。

公表した主な特許・論文

(1) 特願 2015-163062 「共生促進方法及び共生促進剤」 武田直也(基礎生物学研究所)(出願中)

(2) Nagae, M. et al. Common symbiosis genes CERBERUS and NSP1 provide additional insight into the establishment of arbuscular mycorrhizal and root nodule symbioses in Lotus japonicus. Plant Signaling & Behavior e28544 (2014).

(3) Takeda, N. et al. Gibberellins Interfere with Symbiosis Signaling and Gene Expression, and Alter Colonization by Arbuscular Mycorrhizal Fungi in Lotus japonicus. Plant Physiol. 167(2) 545-57 (2015).

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1) 実験室レベルに留めるのではなく、実際の農業利用に耐えうる技術となりうるかを検討していくために、圃場試験などでの問題点の発見と、解決にむけた基礎研究へのフィードバックによる発展を図る。

(2) この技術によって推進される共生栄養供給は、化成肥料の代替・補助的用途としての利用が見込まれる微生物肥料の普及に貢献することができる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

(1) 微生物肥料としての共生栄養供給能の利用は、化成肥料に依存した現代農業の脱却に貢献し、植物生産性の向上と環境低負荷型農業という相反する問題を解決する有効な手段となりうる。

(2) 生物のもつ自己増殖機能を利用した技術として、肥料などが十分に使用できない海外の国・地域における農業技術としても活用できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

基礎生物学研究所

TEL 0564-55-7563

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