細菌鋳型の迅速作製技術を応用する食品分析リアルタイムセンサの開発
- 課題番号
- 25020A
- 研究グループ
- 大阪府立大学 工学研究科・生命環境科学研究科、
農研機構 果樹研究所、グリーンケム株式会社 - 研究総括者
- 大阪府立大学 長岡 勉
- 研究タイプ
- Aタイプ
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 細菌鋳型の迅速作製技術を応用する食品分析リアルタイムセンサの開発(PDF : 926.4KB)
1 研究の背景・目的・目標
食品の細菌汚染が度々社会問題となっている。これは食品の生産・加工現場においてリアルタイムで経済性に優れ,かつ取り扱いも容易な細菌計測システムが,未だ開発されていないことに一因がある。この研究では,食品分析のこのような現状を打破し,より安全な食品の供給に資する分析システムの開発を試みた。この研究では,我々がこれまで開発してきた鋳型ポリマ作製法を利用して高精度な細菌センサを作製することを目標とした。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 細菌計測センサが抗体などのバイオ手法を用いず、極めて簡便な手法で開発可能となった。
(2) 開発した手法では細菌の種類によらず同一手順でセンサの作製が可能となった。生肉や野菜など食品に存在する細菌分析を行った。また、果樹の病原性細菌を検出可能とするセンサの開発にも成功した。
(3) 細菌の鋳型を有するポリマ・金属ナノ粒子からなるナノコンポジットの作製に成功し、細菌分析に応用した。
(4) 細菌鋳型膜、ナノコンポジットを用いるディスポーザブルセンサチップ、光学機器の開発に成功した。食品の細菌分析に応用し、既存手法と一致する結果が迅速に得られた。
公表した主な特許・論文
(1) Shiigi, H. et al. “Efficient Collection and Sensitive Detection using Conducting Magnetic Microbeads” Anal. Chem., 86, 4977-4981 (2014).
(2) Tokonami, S. et al. “Recognition of gram-negative and gram-positive bacteria with a functionalized conducting polymer film” Res. Chem. Intermed., 40, 2327-2335 (2014).
(3) Shiigi, H. et. al. “Nanoantennas as Biomarkers for Bacterial Detection” Anal. Chem. 87, 4042-4046 (2015).
3 今後の展開方向、見込まれる波及効果
(1) 細菌検出センサが極めて簡便な方法で開発できるようになったことから、新たな細菌検出が必要となった場合にも迅速な対応が可能となった。また、培養法よりも迅速に測定結果が得られることから、細菌の簡易分析にも応用できる。
(2) 一般的な微生物の検出、発酵過程の管理などへの応用が期待できる。リアルタイムセンサであることから、水質管理などの連続モニタリング用途にも応用可能である。果樹など、植物細菌の検出にも応用可能である。
4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献
(1) 大腸菌などの簡易検査が極めて迅速に可能となり、衛生管理、食品の安全性に貢献できる。
(2) 新たな細菌による衛生上の問題が発生した場合にも、検出システムが短時間で構築できる。
(3) リアルタイム連続モニタリングが可能であることから、水質管理や種々の工業プロセスの管理に応用できる。
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