このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

地域食品・醸造残さからの高品質・高機能油脂生産に向けた基盤研究

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
食品(発酵技術)
適応地域
全国
キーワード
酵母、油脂、焼酎残さ、膜分離、油脂高生産変異株
課題番号
25019A
研究グループ
新潟薬科大学大学応用生命科学部、 酒類総合研究所、
長岡技術科学大学工学部、東レ株式会社、
不二製油株式会社
研究総括者
新潟薬科大学 高久 洋暁
研究タイプ
Aタイプ
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
地域食品・醸造残さからの高品質・高機能油脂生産に向けた基盤研究(PDF : 1183.7KB)

1 研究の背景・目的・目標

世界的な人口増加、バイオ燃料の必要性に伴う油脂需要増加は価格の乱高下を引き起こしている。日本の油脂は輸入に大きく依存しており、油脂自給率の向上は急務課題である。農業人口減少、国土面積を考慮すると、油糧作物の生産拡大は望ましくなく、他の日本独自の油脂資源確保法が必要である。本研究では、様々なバイオマス由来糖から油脂を高生産する油脂酵母に注目し、日本独自の油脂生産プロセスに繋がる基盤技術の開発を目標とした。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 油脂酵母Rhodosporidium toruloides 産生油脂はカロテノド類を多く含む健康油脂、油脂酵母Lipomyces starkeyi 産生油脂は製菓用油脂として期待でき、共に食用油としての安全性も確認された。

(2) 焼酎残さ糖化液に適応した変異株を取得し、酵母による油脂生産の可能性を示した。

(3) 油脂高蓄積及び低蓄積変異株の濃縮法、スクリーニング法を考案し、高頻度で油脂蓄積変異株を取得する方法を開発し、さらに有用な油脂高蓄積変異株を取得した。

(4) 焼酎残さからの糖製造プロセス、油脂生産酵母の連続培養プロセスについて基本技術を構築した。

(5) 油脂酵母総合データベースを構築し、比較ゲノム解析、比較トランスクリプトーム解析よって油脂生産に影響を及ぼす遺伝子に関する知見を得ることで、分子育種の基盤を構築した。

公表した主な特許・論文

(1) Oguro, Y. et al. Multicopy integration and expression of heterologous genes in the oleaginous yeast, Lipomyces starkeyi Biosci Biotechnol Biochem. 79(3):512-5 (2015) .

(2) 正木和夫.油脂酵母によるバイオディーゼル生産.バイオサイエンスとインダストリー 72(1), 29-31 (2014)

(3) 正木和夫、歌島悠、家藤治幸.多様な酵母の能力と応用利用.生物の科学「遺伝」 69(5), 405-410 (2015)

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1) バイオマス中に含まれる阻害物質に適応できる酵母変異株取得法の開発により、全国の様々な地域で排出される有用バイオマス残さへの適応が可能となった。

(2) 油脂高蓄積変異株の取得法の確立、油脂酵母総合データベースの構築等により油脂生産性が向上した油脂高生産酵母変異株の開発が可能となり、日本の油脂産業への大きな貢献が期待できる。

(3) 酵母R. toruloides産生油脂は、抗酸化能を有するカロテノイドを多く含むため、高い付加価値を有する油脂であり、新たに健康油脂としての展開の可能性が考えられる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

本研究成果を活用した油脂生産プロセスの構築により、高品質・安全性の高い油脂を、天候や季節に依存せずに年中持続的に生産することが可能となり、油脂の安定供給に貢献できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

新潟薬科大学

応用生命科学部
TEL 0250-25-5119

同じ分野の研究成果

食品
機能性
幹細胞を介して脳血管疾患・認知症を予防する農産物の評価手法の確立と素材探索
食品
機能性
マウス加齢性難聴を指標とした抗老化食品素材の短期間スクリーニング評価
食品
機能性
新規魚油由来脂肪酸の事業化を見据えた基盤・実証研究
食品
発酵技術
コエンザイムQ10高度生産酵母の開発
食品
食の安全性
トランス脂肪酸問題の質的解決に向けたトランス脂肪酸異性体ごとの代謝性評価

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader