このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

家畜ピロプラズマ病予防・治療法の開発に向けたゲノム改変技術の開発

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
畜産(家畜衛生)
適応地域
全国
キーワード
ウシ、家畜疾病対策、ピロプラズマ病、ゲノム、遺伝子改変技術
課題番号
25018A
研究グループ
帯広畜産大学・原虫病研究センター、長崎大学・熱帯医学研究所、北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンター
研究総括者
帯広畜産大学・原虫病研究センター 河津 信一郎
研究タイプ
Aタイプ
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
家畜ピロプラズマ病予防・治療法の開発に向けたゲノム改変技術の開発(PDF : 952.1KB)

1 研究の背景・目的・目標

家畜原虫感染症の防疫対策には限界があり、より効果的で安全なワクチンの開発および新規創薬が必要である。マラリアなどヒト病原体原虫では、ゲノム創薬および遺伝子改変原虫(GAP)を用いた弱毒生ワクチンの開発等が精力的に進められている。そこで本課題は、家畜のピロプラズマ原虫について次世代創薬・GAP開発の基盤として(1)実用的な遺伝子操作技術の確立(2)ゲノム及び転写情報データベースを整備することを達成目標とした。

2 研究の内容・主要な成果

(1)大型ピロプラズマ原虫(バベシア オバタ)で一過性に外来遺伝子を発現するシステムを開発した。

(2)バベシア オバタで任意の遺伝子を安定して発現するシステムを開発した。

(3)バベシア オバタで任意の遺伝子を欠損させる(ノックアウトする)システムを開発した。

(4)バベシア オバタのゲノムデータベースを公開した。

(5)バベシア オバタの転写データベースを作成した。

(6)バベシア オバタの栄養要求性変異株(弱毒株)を確立した。

公表した主な特許・論文

(1) Jąkalski M. et al., The DB-AT: a 2015 update to the Full-parasites database brings a multitude of new transcriptomic data for apicomplexan parasites. Nucleic Acids Res. 43 (Database issue): D631-636 (2015)

(2)Mossaad E. et al., Calcium ions are involved in egress of Babesia bovis merozoites from bovine erythrocytes. J Vet Med Sci. 77 (1): 53-58 (2015)

(3) Asada M. et al., Transfection of Babesia bovis by double selection with WR99210 and blasticidin-S and its application for functional analysis of thioredoxin peroxidase-1. PLoS One. 10 (5): e0125993 (2015)

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1)化合物ライブラリーを基盤とする先端的創薬研究による新規創薬開発が可能となる。

(2)遺伝子改変原虫(GAP)開発研究による次世代型生ワクチン開発が可能となる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

(1) 現行の定期的・画一的な殺ダニ剤の牛体投与によるピロプラズマ病対策費用の大幅なコストカット及び、我が国の食料生産に与えるピロプラズマ病の被害・損害の軽減が期待される。

(2) 標準化された予防・治療技術を基盤とする小型ピロプラズマ病対策が実現することで、我が国のみならず、同原虫病の被害に苦しむ他のアジア・オセアニア諸国においても有効な家畜衛生施策が可能となる。
また、海外での衛生対策が進むことにより我が国への侵入リスクが低下する。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

帯広畜産大学・原虫病研究センター

TEL 015-549-5846

同じ分野の研究成果

畜産
家畜
生体の光応答性と代謝プログラミングを活用した新規家畜生産システムの開発
畜産
ゲノム編集による家畜系統造成の加速化
畜産
和牛の遺伝子多様体データベースの構築による子牛生産阻害因子の迅速な解明
畜産
豚肉の食味に対する科学的評価法に関する研究
畜産
飼料
未利用間伐材等を微粉砕して消化率を高めた新規木質飼料の開発およびTMRへの活用

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader