農薬および食品添加物を用いた農作物のアフラトキシン汚染防除法の開発
- 課題番号
- 28019B
- 研究グループ
- 東京大学大学院農学生命科学研究科
日本曹達株式会社研究開発本部 - 研究総括者
- 東京大学大学院農学生命科学研究科 作田庄平
- 研究タイプ
- 産学機関結集型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成28年~29年(2年間)
- PDF版
- 農薬および食品添加物を用いた農作物のアフラトキシン汚染防除法の開発(PDF : 1113.3KB)
1 研究の目的・終了時の達成目標
アフラトキシンは強力な発ガン性を有するカビ毒である。農作物のアフラトキシン汚染は、健康被害、経済的被害を引起し、世界的に極めて深刻であるが、汚染問題を抜本的に解決できる汚染防除方法は現在存在しない。そこで、本研究ではアフラトキシン汚染問題を解決できる効果的な汚染防除方法を開発することを目的に、既存の農薬、食品添加物の中から実用的なアフラトキシン汚染防除剤の候補を得ることを目標とする。
2 研究の主要な成果
(1)落花生の葉に収穫前に散布して、収穫後の落花生子実(ピーナッツ)の貯蔵中のアフラトキシン汚染を防除できる農薬を見出し、実地試験で効果を検証した。
(2)ピーナッツの貯蔵開始時に散布して、貯蔵中のアフラトキシン汚染を防除できる食品添加物(没食子酸オクチル)を見出し、実地試験で効果を検証した。
公表した主な論文
(1) 作田庄平ほか. 食品添加物を用いたアフラトキシン汚染防除. BIO INDUSTRY 34(5), 1-7 (2017).
3 今後の展開方向
(1)見出した農薬のアフラトキシン汚染防除剤への実用化のため、落花生やその他農作物への施用時期、施用量等を検討する。
(2)見出した食品添加物のアフラトキシン汚染防除剤への実用化のためのピーナッツ輸送時等での汚染防除効果を検証する。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、農薬、食品添加物のアフラトキシン汚染防除剤としての施用方法を確立する。
(2) 5年後(2022年度)は、アフラトキシン汚染防除に利用できるように、食品添加物ではピーナッツ等での使用認可、また農薬についてはアフラトキシン産生菌に対する成育抑制効果等での使用認可を得て、現場で検証する。
(3) 最終的には、農薬や食品添加物を利用した簡便な防除方法が世界的に普及することで、食品のアフラトキシン汚染が大幅に軽減する。
4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 現在、食品のアフラトキシン汚染による経済被害は、全世界で数千億円にのぼり、本研究の成果により実用的なアフラトキシン汚染防除が可能となり、経済被害の一部が改善されれば、大きな経済効果が見込まれる。我国においても、農作物の輸送中のアフラトキシン汚染による経済被害は大きいため、輸入農作物の汚染による損失等における改善も見込まれる。
(2) 食品中のアフラトキシン汚染量が低減され、食品の安全性の向上が見込まれる。
この研究成果を活用しませんか?
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
作田庄平
E-mail:sakuda[at]nasu.bio.teikyo-u.ac.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 03-5841-5133